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落合陽一「2025大阪万博までの7年をどう生きるか」

大盛況となったシンポジウムの様子

──(会場から)1964年のオリンピックと1970年の大阪万博。これら過去にはどういう意義があったのか。そして、今回の意義は何でしょう。お考えを聞かせてください。

落合:1964年と1970年のことは全然しゃべれないですけど、ぼくから見たら、1964年に設計された東京都市で、いまもわれわれは生活している。そして1970年の大阪万博では「人類の進歩と調和」を統一テーマにした。あそこで示されたものに、もう、全天球カメラがあった。月の石もあったし、人類が考えられるSF的な未来の可能性はあそこにすべて包まれていた。これはみんな意外と見落としている事実です。インターネットも詰まっていて、それによって実現される社会はイメージの段階として広がっていったんですよ。

 われわれが今度の万博でやらなければいけないことは、現在までの間に実証されたことに基づいて、生活感をどう取り戻すかということ。未来のビジョンはもちろんある。そのビジョンから当たり前の風景が見えれば、もはや夢物語ではないとして扱ってもいいでしょう。

 東京五輪についていえば、1964年の時に作りかえられた都市構造を、われわれは工業的発展構造の都市から個別具体的分散構造の人口縮小型の都市に変えていかなければならない。その転換点が2020年にやってくるんですね。

 人口が増加して、もっとも効率的な移動手段はベルトコンベアです。東京には緑のベルトコンベアが走っていますよね。「山手線」というんですけど(会場、笑い)。ベルトコンベアの次に効率的なのが、ライントレーサーですね。自動運転です、要は。ニューヨークやシリコンバレーでは、自動運転の導入を進めている。なぜか。高速道路の出入口や橋でものすごく渋滞するので、その運転という労働から解放されたいんです。

 一方、日本の都市部で、なぜそこまで自動運転のニーズが高まっていないのか。ひとつには、タクシーがいっぱい走っていて、お金持ちはそれで移動できてしまう。また一方で、地下鉄、地上、そして物量化を担っている首都高速をはじめとするインフラが、すべてレイヤー(階層)に分かれていて人口の急激な増加に耐えきれるようになっている。それがわれわれ社会の特殊な都市構造だと思うのです。

 これから人口が減少したときに、その構造をどう作り替えるのかが、2020年(東京五輪)のひとつのテーマです。

猪瀬:1964年は首都高速ができました。東海道新幹線もそうです。ソ連映画『惑星ソラリス』(1972)は東京の首都高を走るシーンを、未来都市として描きました。1970年の大阪万博も未来をそこに置いたんですね。でも、およそ50年経っているので、「未来」はそろそろ一回りする。1964年と1970年には、落合君は生まれていなかったしね。

落合:そうですね。ぼく31なんです。みなさんによく年がわからないといわれます。でもぎりぎり昭和生まれ。だからここ(猪瀬さんと自分)は同じ世代なんです(笑い)。

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