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立川談修 正攻法で清々しい後味の「ダーク」な落語

 ラスト、女郎のお杉が半七と喧嘩になり、「お前より田舎者の角蔵のほうがマシだよ!」と言い放つと、半七が「だったら角蔵と所帯を持ちやがれ!」と言い返し、それを盗み聞きした角蔵が「やっぱりオラァ色男だ」とニンマリしてサゲ。これは珍しい演出だ。初めて聴いた。

『死神』は1960代後半の談志が好んで演じた噺。いろんな演者が圓生の型を基にそれぞれ工夫を凝らしているが、談志は「アジャラカモクレン」ではない呪文を用い、移し替えに成功した蝋燭の火を死神が吹き消すという皮肉なサゲを考案した。談修は圓生型そのままで、サゲも「消えた」で倒れる見立てオチ。男が医者の看板を出した直後に来たのが『金明竹』で出てくる「中橋の加賀屋佐吉」の手代だったのは笑った。

 正攻法で演じた3席は、この会の「ダーク」というテーマとは良い意味で裏腹の、清々しい後味を残した。

●ひろせ・かずお/1960年生まれ。東京大学工学部卒。音楽誌『BURRN!』編集長。1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。『現代落語の基礎知識』『噺家のはなし』『噺は生きている』など著書多数。

※週刊ポスト2018年12月21日号

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