家庭の外で調理された商品を持ち帰る、あるいは配達された上で食べるのが「中食」である。近年、中食市場は拡大一途。2018年も勢いは変わらなかった。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が指摘する。
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前回今年の「外食」にまつわる総括を行ったが、2018年の「中食(なかしょく)」や「内食(うちしょく)」──。いわゆる「家メシ」はどうだったか。
総務省の家計調査(総世帯)の2017年と2007年の消費支出全体を比較してみると一目瞭然。消費支出全体は減少しているのに、「食料」支出は伸びている。
細かく見ていこう。例えば10年前、2007年の消費支出(全体)は313万8316円だったが、2017年は292万1476円と約7ポイント減。「外食」項目の支出も2007年の17万161円に対して、2017年に対して16万3868円とこちらも3.7ポイント減。
ところが消費支出も外食支出も減っているというのに、外食、中食、内食のすべてが含まれる「食料」となると2007年は79万4255円、2017年は81万1232円と2ポイント以上伸びている。その消費を支えているのが、「調理食品」──いわゆる「中食」である。
日本惣菜協会の調べでは2007年に7兆9491億円だった惣菜市場──中食市場の規模は2017年には大台を突破し、10兆555億円まで拡大。引き続き堅調な伸びを見せている。そしてこの市場を牽引しているのが他ならぬコンビニだ。
中食市場での構成比率を見ても、コンビニ、食料品スーパー、専門店の合計で87%を占め、なかでもコンビニは市場の32%を占めるトップランナーとなっている。考えてみればおにぎりに弁当、惣菜にサラダなど、中食ビジネスの中核を担うアイテムはすべてコンビニの棚にある。
各業界別の中食の売上とその推移を見てみる。コンビニエンスストアが3兆2290億円(2007年比61ポイント増)、食料品スーパー(同42ポイント増)というように、生活密着型の店舗で伸びている。専門店、総合スーパー、百貨店が売り伸ばしに苦戦するなか、コンビニと食料品スーパーの高い伸びが中食市場を牽引しているのだ。
といっても、いまや完全に成熟期に入ったコンビニ惣菜では、一時の「サラダチキン」のような傑出した大型新人はそうそう現れない。各社とも弁当、惣菜の地道なアップデートで商品の質を挙げている。
とりわけコンビニ中食の王様とも言えるおにぎりは、米の炊飯から成形の工程、フィルムやパッケージの材質や形状に至るまで、常に変更が加えられ続けている。今年は、グルメ誌の『dancyu』でもおにぎり特集が組まれるなど、「買うおにぎり」が注目を浴びた一年でもあった。秋口にはローソンが発売した、「悪魔のおにぎり(めんつゆと天かすのおにぎり)」が、「コンビニおにぎり不動のNo.1」と言われたシーチキンマヨネーズを抜いたというニュースも報道された。数年前に流行した「おにぎらず」から「おにぎり」への回帰現象。やはり日本人にとって「おにぎり」は特別な食べ物なのかもしれない。