コンビニでは、糖質オフやグルテンフリー食材を指す「ギルト(罪悪感)フリー」食品もさまざまな棚に進出。おにぎりを例に挙げると、各コンビニとも食物繊維の豊富な「もち麦」入りのおにぎりも人気で、糖質量を抑えたローソンのブラン(ふすま)パンや「糖質ゼロ」を謳う即席めんも人気となっている。
その即席めんのなかでも、並々ならぬ存在感を示したのが、カップめんだ。カテゴリー上は「内食」だが、お湯を注ぐだけで食べられるカップめんは、中食との境界線上にある。カップめんはこの10年ほどでプライベートブランド(PB)商品が目立つようになっていたが、今年はカップ焼きそばなどナショナルブランド(NB)が強いカテゴリーにおいて、大手が次々に新しいアイテムを投入した。
例えば日清食品の看板カップ焼きそばブランド「日清焼そばU.F.O.」は、今年の年初からほぼ毎月、限定アイテムを投入していたし、もう一方の雄「ペヤング」も限定に加えて、通常の4倍量の2142kcalという「超超超大盛GIGAMAX」を発売。熾烈を極めるコンビニの棚争いのなか、広大なスペースを確保していた。両者に象徴されるNBのバリエーション豊かな商品群は、年間6000億円市場と言われる即席めん市場の活況を象徴している。
その他、デリバリー特化型サービスUber EATSの全国展開も今年の中食市場を象徴する出来事のひとつ。Uber EATSは2016年に都心部でサービスをスタート。2017年には横浜でもサービスを始め、今年2018年には大阪、京都、神戸などの関西圏にも進出、川崎市やさいたま市といった首都圏でもエリアを拡充している。
外食編でも触れたように飲食店の狭小化が進む現状、売上を伸ばすにはデリバリー展開も視野に入ってくる。来年2019年10月からは消費税が10%へと増税されるが、デリバリーについては、8%という軽減税率が適用される。軽減税率制度の良し悪しは別として、中食市場におけるデリバリーや出前への注目は高まるはずだ。
中食と内食の境目が曖昧になって久しい。飲食店が中食へと乗り出せば、自然と外食と中食の境界線も曖昧になっていく。
そもそも「中食」を「なかしょく」と読ませる概念自体、新聞紙上等で使われるようになったのは1980年代以降のこと。ブームやトレンドは定着するにつれて細分化され、その後継承・更新を繰り返すことで文化として醸成される。2018年の「食」は数十年後、どんな形で日本人の食文化に爪痕を残すのだろうか。