国際情報

2018年中国の流行語「佛系」 語源は日本の「草食系」

流行語には外国の影響も見られる(アフロ)

 年の瀬になれば「流行語」が話題になるのは日本ばかりではない。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 春節(旧正月)が主流の中国であっても、12月ともなれば否が応でも年越し気分は盛り上がる。メディアには、今年一年を振り返る企画があふれるのである。

 その一つとして恒例なのが、党中央機関紙『人民日報』が発表する〈2018年十大流行語の解説〉(12月3日)である。

 ノリとしては、日本の流行語大賞のようなものだが、誰かが表彰されるわけではない。ネットの中に頻出した「新語」を同紙がランク付けして、解説するというものだ。別に、政治的な意図があるわけではないので、世相がよくわかって便利でもある。

 さて、今年選ばれたワードが何であったかであるが、面白かったのは、やはり第一位が習近平にかかわるワードで「運命いずれにしても共同体」であったこと。

 中国のメディアは、ネットメディアも含めて必ずトップニュースを習近平関連のものにしなければならないのだが、ここにもきちんと反映されたというわけだ。

 さて、であるから本当のベストテンはこの後になるのだが、第2位が「錦鯉」。これは幸運の意味で使われる言葉だが、いまひとつピンとこない。第3位の「店小二」と「教科書式」は、いずれも官僚の住民サービスの姿勢を示したもの。ごく小さな店の店主のように人民にサービスするという意味の「店小二」。取り締まりをきちんと法律の範囲で行うことを意味する「教科書式」である。

 興味深かったのは、外国に関係する言葉がいくつか見られたことだ。一つは、日本から輸入して流行語となった「佛系」である。

 語源は日本の「僧職系」であり、その奥にあるのは「草食系」である。つまり、そもそも異性に興味の薄い人間を指して使われたのだが、これが転じてあらゆる局面で「穏やかな」、「争いを好まない」、「ガツガツしていない」人々をさして広く使われるようになった。

 例を挙げれば、「佛系生活」、「佛系父母」、「佛系乗客」、「佛系恋愛」などだ。

 また、トランプ現象を受けた言葉では、「退群」がはいった。もともとSNSのグループを抜けるという意味の言葉だが、トランプ政権が誕生後のアメリカが、TPPやパリ協定、ユネスコ、最後にはWTOさえ脱退すると言い出したことを受けて、ネットで大流行したという。

 そして、中国社会のいまを最も如実に表したと思われる流行語は「巨嬰」である。これは公共の場で自分勝手にふるまう大人を指して使われる言葉で、バスや列車での事故や事件につながった世相を反映している。まさに巨大な赤ちゃんというわけだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
3大会連続の五輪出場
【闘病を乗り越えてパリ五輪出場決定】池江璃花子、強くなるために決断した“母の支え”との別れ
女性セブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン