村民の42歳女性は、前世は男の子に生まれ、8歳のときに狼に噛まれて死んでしまった。前世について覚えている最後の記憶は、自らが死ぬ姿を〈魂になって一部始終を見ていた〉記憶だったという。
女性が前世の記憶を思い出したのは4歳のときだった。夜道に出ようとすると、母親に「こんな暗い道を歩くと、狼に食べられるよ!」と注意され、その瞬間、前世の両親や住んでいた村などの記憶が蘇ってきた──というのだ。
この村にはこうした証言をする人が80人以上存在したという。“男の子に生まれ変わった女性が前世の夫と再会した”“あの世をさまよった後、突然球のようなものに包まれ、次の瞬間、赤ちゃんになった”といった証言が続く。
荒唐無稽にも思える話だが、なぜ大きな反響が寄せられているのか。著者の森田氏はこう分析する。
「私が生まれ変わりをテーマに本を出すことを知って、姉が“あの世や来世があるとしたら、亡くなった両親に会えるのか?”と質問してきたんです。
私自身、生まれ変わりが実在すると断定したいわけではありません。しかし、私の姉のように“亡くなった大切な人にまた会いたい”とか“自分が生まれ変わったら〇〇になりたい”と考えることは、誰しもあるでしょう。そうした願いを持つ人々に、中国の村の証言が響いたのではないかと思っています」