一体いつから大阪は“大阪的”になったのか。その観念の鋳型はどこから生まれたのか。京都生まれの私ですが、大阪も含めて同じ関西人という気持ちが強い。大阪の不当な扱いを正したいという思いが根底にありました。

 例えば、“おもろいおばはん”は大阪的イメージの象徴でしょう。これが生まれた背景は、1983年に放送が開始された『まいどワイド30分』というテレビ大阪の夕方の番組にあります。『決まった! 今夜のおかず』というコーナーで、大阪市内の市場や商店街で、素人主婦に突撃する様子を毎回放送しました。

 ここで登場する主婦は、誰でもよかったわけではありません。制作側がおもしろいと判断した主婦だけを取り上げました。最初は絵になる主婦を探すことに大変苦労したといいます。みなごく普通の人々ですから、当たり前です。

 このコーナーが大人気となり、他の在阪局も“おもろい素人”を取り上げるようになった。こうした映像がブラウン管から流れ続けた結果、東京のキー局の目にとまり、県民ショウ的な番組の中で、「大阪人=おもしろい」という等式が全国的に拡大していきます。

 この際、言葉が大きな要因となりました。東京のメディアが関西弁を拾う時、主に吉本新喜劇を彷彿とさせる語りを重宝したのです。宝塚音楽学校の生徒のような、いわゆる“品の良い関西弁”をメディアは求めなかった。

 地元のテレビ局が何十年もかけて育んだものでしょう。いまでは大阪の住人も、路上でカメラを向けられた時に、「おもろいこと言っとこか」と悪ノリしている部分がある。

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