ライフ

大阪の「おもろい」「がめつい」イメージはいつ誕生したか?

『大阪的』を上梓した井上章一氏

 2025年の大阪万博決定に際し、各局のワイドショーは道頓堀の商店主や通行人にマイクを向けていた。「景気エエ話やんか。外国人がガンガンお金落っことしてくれるんやろ!」「空き地の夢洲にそんなもん建てて終わった後どうすんねん。全部わてらの税金やろ。夢なんかあらへんわ!」がめつい店主に、押しの強い“おばはん”が次々と現われたが、そんな紋切り型の大阪像は“作りもん”と断じる識者がいる。11月に『大阪的』(幻冬舎新書)を上梓した国際日本文化研究センター教授の井上章一氏が、“大阪のおばはん”はいつ、どのようにして生み出されたのかについて解説する。

 * * *
 万博誘致でまた間違った大阪像が拡大していく。メディアによる一種の風評被害だと思っております。

 当たり前の話ですが、大阪もいわゆる“大阪的”ではない人がたくさん住んでおられる。でも、そこは取り上げられません。「大阪人は、がめつくておもろくなければならん」という決めつけがあるわけです。実際、大阪人と言われて、物静かで思慮深い人間を想像する人はいないでしょう。

 谷崎潤一郎が1932年に記した『私の見た大阪及び大阪人』という随筆があります。そこで谷崎は「関西の婦人は凡べて言葉数少なく、婉曲に心持ちを表現する。それが東京に比べて品よくも聞こえ、非常に色気がある」と綴っている。現代の大阪のおばちゃんイメージとはかけ離れた姿です。

関連キーワード

関連記事

トピックス

国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン