国内

フェイクニュース作りの新手法 掲示板の意見を「情報」扱い

対立する意見を生み出すところから始まるフェイクニュース

 フェイクニュースはなぜ生まれ、広まってゆくのか。その背景には、それが事実か否かに関わりなく、アクセス数が伸びる扇情的なものだけを求める作り手が存在する。ネットの海に漂うものを恣意的に集めてフェイクニュースを形作るまとめサイトのなかには、その漂うものを生み出すことにまで手を出している者たちがいる。ライターの森鷹久氏が、目先の利益のために元まとめサイト作成人に、フェイクニュースを生み出す方法を聞いた。

 * * *
 昨年話題になったキーワードの一つに「フェイクニュース」がある。2016年のアメリカ大統領選の頃から指摘されてきたフェイクニュースの存在は、昨年の沖縄県知事選挙をはじめ、国内の選挙の際には必ず取り沙汰される話題となってしまった。特に「フェイクニュース」の温床として指摘されているのがネット上の「まとめサイト」、さらには有象無象の「バイラルメディア」である。

 筆者もいくつかのまとめサイトやバイラルメディアの管理人、作成者にコンタクトを取り、それらが「カネのため」に、そして「集客のため」だけに極めて恣意的に作られている「偽ニュースサイト」であることを明かしてきたつもりだが、最近、フェイクニュースの作り方に新たな“手法”が生まれたという。筆者がウェブサイトに発表した記事を無断で動画サイトに転載していた、都内在住の会社員・S氏が明かす。

「まとめやバイラルサイトでは、ネット上の意見を“情報”として報じます。それが事実なのか間違っているのかは問いません。こうした意見がある、としてニュースにするだけで、あくまでも私やサイトの見解ではない、という姿勢です」(S氏)

 実はS氏、筆者の記事を丸パクリして動画に転載しただけではなく、筆者の記事に否定的なネット掲示板上の意見だけを抽出し、動画サイト上に記載していた。再生数はわずか数百回ほどで、数円に満たない収入しか得られなかったとするが、筆者がDM(ダイレクトメール)で無断転載を指摘すると、動画を取り下げ謝罪し、今回の取材を受けてくれる運びとなったのだ。

 S氏は昨年まで、複数のまとめサイトやバイラルメディアと運営していたが(現在はすべて閉鎖)、ニュースを作る際に、人目を集めそうなキーワードやネタまでも自作自演し「ネットにはこんな声もあります」の部分まで、ねつ造していたというのである。

「ネット上にある意見であればニュースになる、ということは、耳目を引きそうなネタを自ら匿名でネットに書き込めばいいのです。自分でネット掲示板などに書き込んだネタを自分のサイトで取り上げれば、それがニュースになるのです。ただ、長年の掲示板ユーザーには当然見透かされているのですが…」(S氏)

関連記事

トピックス

愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン