当初、稀勢の里は引退を表明した1月16日にも、土俵を務めるつもりだったという。当日は地元・茨城県牛久市の「稀勢の里郷土後援会」がバス2台に95人のメンバーを乗せて応援に駆け付ける予定になっていた。
「昨年は休場ばかりで一度も交流会を持つことができず、12月の冬巡業も全休。責任感の強い稀勢の里は、せめて後援会に最後の姿を見せたかったのではないか」(ベテラン記者)
昇進から引退まで、周囲の打算や思惑に翻弄された722日間の暗闘を振り返ると、「悔いはない」とした会見での発言の裏に、言葉にできない思いがあったことは、想像に難くない。
※週刊ポスト2019年2月1日号