慌てて自分の名前と生年月日を頭の中で唱えた。これは母の認知症担当医がよくする質問だ。次に、脳内出血で後から倒れるかもしれないと、娘に事の次第と編集担当者の連絡先をラインで送信。われながら冷静で素早い動きだった。
でも同時に母のことがモヤモヤ浮かんでいた。今、私が死んだら母は困るだろう。どんなに不安で絶望するだろう。
「死ぬかも」と焦って初めて気づいたが、どんな形で最期が訪れるかは、誰にもわからない。なりゆき任せでは、せっかく懸命に生きている甲斐もない。
母と私、お互いの最期について、じっくり話してみようかという気になってきた。
※女性セブン2019年2月14日号