「夢を持つこと」についてメンバーで語り合った際のスタジオトーク。「『夢を持つことはいいことだ!』と教育されてきたけど『持たなくちゃ』ってなりがちだけど全然ですよね」とベッキー。しかし、彼女のコンプリートブックのタイトルは『ゆめの音色~music life~』(2013年)。内容は読んでないので言及できないが「夢」なるワードを人並み以上に好んでいることに間違えない。
とどのつまり、信憑性がない。今までのベッキーの芸能活動とは「自分は良い人である」といったアピールが主体だった。常に、その瞬間に「良い人」と思われる最適解をコメント。結果として、発言の整合性といったことはとっくに捨てているのだろう。彼女の芸能活動と批評的な視点を求められる『あいのり』、その折り合いは悪い。恋愛模様をとりまとめ、収拾するという役割を果たすのは難儀。
なんで、この女子3人トークを中心にしちゃったんだろう。「ここに若林がいたら……」と何度も考えてしまった。一視聴者ではどうにもならない「if」を思い浮かべる。若林ならば、異常な旅を機知の効いた表現でマイルドに切ってくれたはず。てんやわんやをタレントが批評するのが素人参加番組の醍醐味。ただ『あいのり:Asian Journey』の場合は、てんやわんやを超え事件沙汰になってるけど。そういえば、トムも「日本なら”でっぱりん”を警察に突き出す」と語っていた。だからこそスタジオトークが重要なわけで、タレントまでおかしいコチラもつらくなる。「この人達がおかしいのか……、それとも自分が敏感すぎるのか……」とムダな自己対話にも追われる。
まぁ、番組の方が絶対に異常だと思うんだけど。
●ヨシムラヒロム/1986年生まれ、東京出身。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。イラストレーター、コラムニスト、中野区観光大使。五反田のコワーキングスペースpaoで週1度開かれるイベント「微学校」の校長としても活動中。テレビっ子として育ち、ネットテレビっ子に成長した。著書に『美大生図鑑』(飛鳥新社)。