昨年末、『あいのり:Asian Journey』シーズン2がスタート。ラブワゴンのエンジンが再び動き始めた。そこに再び、問題は拳で解決する主義の “でっぱりん”を投入。番組的にはこういったトラブルメーカーはありがたいのだろう。スタッフも彼女の暴力を待つ。結果、シーズン1と比べてシーズン2のバイオレンス度は増した。既に配信されている13話中、3度のケンカが勃発。旅よりも恋よりもケンカを主軸とした構成となっている。いつも中心には”でっぱりん”がいた。
ナイフが9割型刺さった「黒ひげ危機一髪」のような”でっぱりん”、カンに触る行動をとれば飛び出す口撃と武力行使。心が疲弊して当然、実際に拳を当てられる被害を被った男性メンバーのトムは、遂に根をあげ「頭の中にでっぱりんを浮かべるだけで怖いんだ……」と吐露。普段、たいして感情移入しない僕ですら「かわいそうだなぁ」と思ってしまった。
しかし、スタジオの3名は違った感想を持ったようで。ベッキーは「PTSDじゃん!」と笑いながらツッコミ、いとうも「もう、その域だよね」と嘲笑い、夏菜は2人の発言を聞き大爆笑。想像もしなかった彼女たちのコメントに絶句。えぇぇ……、コレって、大笑いするような場面か?
下記、ベッキーが語った“でっぱりん”評である。
「でも、スタッフみんな“でっぱりん”のこと大好きだよね! VTRに映ってないところに良さがあるんだよ」
「やっぱ、“でっぱりん”って私たちのなかのアイドルだから元気印だから」
「“でっぱりん”は人間力が高い」
理屈がない総論、またはDVを受けている人が「でも、あの人にもいいところがあってね」という感じか。そして、この無責任な発言に対してスタジオの誰も是正しない。「どんな理由があっても暴力ダメでしょ!」とツッコミ(いや注意と書いた方が正しい気もする)をいれる人はいない。一事が万事、こんなスタジオトークが展開される。また、コメンテーターが女性3名となったゆえか、視点が一方方向。話すことも3パターンしかない。
【1】感想
【2】VTRのなかにあった男女のやりとりの再現
【3】そして男子メンバーへの辛口
特に「泣く男が大嫌い」と公言している夏菜の舌鋒は鋭い。「嫌いなモノを嫌い」と言ってなにが悪いのか。そんな開き直った態度に恐怖を覚える。3人共に起きる出来事を深く捉えることはない。ケンカも表面的に仲直りすれば、全てが解決すると思い込んでいる。殴られた恨みも消えると考えているのだろうか(そもそも、すぐ殴る女性を好きになるのかという大前提もあるけど)。
脊髄反射でコメントをするために深みが一切ないのだ。