例えば、好きなことを人に見せて、広告収入を得ているYouTuberは「楽しみを共有する」という無形の財を生んでいる。仮想ライブ空間「SHOWROOM」でライブ配信を頑張っているアイドルやタレント、趣味のものや旅行先の写真をアップして稼いでいるSNSインフルエンサーなども同じだ。
また、お金にはならなかったボランティア的な活動も、クラウドファンディングなどを通じて金銭的な支援がなされるようになった。家事や子育て、「困っている人を助けるのが好き!」という人への報酬も、NPO法人などのサポートで、支払われる仕組みが整ってきた。彼らの創出している財を、旧来のGDPの枠組みに入れるのは難しい。
ひと昔前まで、GDPに組み込まれている仕事とは言えなかった遊びや趣味が、仕事に成りかわり始めている。いや、もしかしたら従来的な仕事よりも、はるかに儲かるようになってきたのだ。給料や時給を、財とみなしているうちは、財の根本的な性質が変わってきている現在の潮流を、きちんと読み取れていない。
◆「財が足りない」はブラックユーモア
遊びが仕事全体の大きな部分を占めるようになって、GDPというものは、経済的発展のたしかな指標にはなりえなくなっている。仕事の定義づけが急速に変化しているこの時代に、「財が足りない」と嘆いているのは、財を獲得するための正しい情報を得ていない証拠だ。
「財が足りない」と嘆く人は、「どこに財があるのか気づいていないだけかもしれない」と、まずは考えを改めてみてほしい。筋のいい情報と、俯瞰的な視点をきちんと持っていれば、尽きることのない財は、あなたのすぐ近くにあると気づけるはずだ。