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人の余生と同じ? 使命を終えた「飛べないヒコーキ」の哀愁

飛べないヒコーキ(撮影:太田真三)

 かつて大空を自在に飛び回っていたヒコーキ(飛行機)たちだが、その使命が終わった時からヒコーキの“余生”が始まる。写真家・太田真三氏は、30年ほど前からカメラを手に日本各地を旅することが多くなり、そこで目にしたのが、写真にあるような「飛べないヒコーキ」たちだった。

 あるものは体中に派手なペンキを塗りたくられ中古車屋の看板となり、なかには今にも地上に激突するかのように垂直に食堂の屋根に置かれたものもある。またあるものは、公園の片隅にひっそりと置かれ、最初こそ子どもたちのヒーローとなったが、飛べないそれはすぐに飽きられてしまい忘れ去られたようだ──。

 そんな「飛べないヒコーキ」に魅せられた太田氏による写真展が、2月28日から東京・銀座、名古屋で順次開催される。太田氏が語る。

「忘れ去られたヒコーキたちがいる反面、なかには大事にされ、定期的に“化粧”もされて一見、今にも再び大空に舞い上がりそうなヒコーキもいます。そんな多くの“飛べないヒコーキ”たちを目にして考えさせられたのは、なんだか人の余生に似ているのでは……ということです」

 人もヒコーキも、ずっと現役時代と同じように活躍できるわけではない。引退後は周囲に忘れ去られる人もいれば、家族や友人に囲まれて笑顔で過ごす人もいる。それでも、引退後に“第2の役割”を与えられるということは、それだけで幸せなことなのかもしれない。

 大空を飛び回るという本来の使命を終えたヒコーキたちをみて、それぞれの余生について何を思うか──。この写真に写っているヒコーキたちも、半分はすでにこの世にはいないという。

◆太田真三写真展「飛べないヒコーキ」はキヤノンギャラリーにて開催。
銀座:2月28日~3月6日、名古屋:3月14日~3月20日。
詳細はHPまで(https://cweb.canon.jp/gallery/archive/ota-tobenai/index.html)。

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