東京モーターショー「LEXUS」ブースの美女コンパニオン
すでに、残価設定ローンやリースという車両購入もある中で、このサブスクリプションサービスにはどんな狙いがあるのか。前出の小寺氏はこういう。
「任意保険や自動車税などのフルサービスであること、インターネット経由で申し込みできること、全国統一のワンプライスであることがリースとの違い。お客様の選択肢として興味、関心を持たれることと、均一料金で若い人にとって割安感があることで“若者のクルマ離れ”を何とかしたいとのトヨタの思いも込められている」
レクサス車のKINTO SELECTで、月額20万円弱が3年間では約700万円支払うことになることについてどう判断するかということになるが、3年間で6台のレクサス新車を乗り換えられる価値を見いだすユーザーがどれだけいるか、であろう。クルマを早く乗り換えるユーザーや輸入車志向のユーザーの取り込みがカギとなる。
トヨタは、今後の自動車流通形態がメーカーの垣根を超え、複数の自動車メーカーからクルマを買い取り、ライドシェアやカーシェア、そしてサブスクリプションなど多様化するユーザーニーズに対応するモビリティカンパニーが新たに出現すると見ている。つまり、既存の自動車メーカーのみならず、総合リース会社やネット通販会社などが次々に参入してくれば、ユーザーの選択の幅が広がると同時に、競争も激しくなる。
このため、トヨタとしては従来のやり方に固執せず、先陣を切ってこのサブスクリプションにも参入し挑戦していくという強い意志を示したのである。
「必要な時にすぐに現われ、思いのままに移動でき、環境にも優しい『筋斗雲』をイメージして、愛車サブスクリプションサービス『KINTO』と名付けた」(豊田章男社長)とトヨタトップのモビリティカンパニーへの変革へのチャレンジの一環でもある。
KINTOはトヨタの販売金融子会社のトヨタファイナンシャルサービスと住友商事・住友三井オートサービスの出資により設立・運営されることになった。
「すでに欧米でいくつかのサプスクリプションが始動している、元々リースは米国で3~4割、欧州で5~6割で定着しているが、日本を含めアジアはまだ保有を前提として個人リースの割合は少ない。しかし、将来を想定していくとサブスクリプションがレンタカー・カーシェアリングを呑み込んでいく可能性もある」(小寺社長)との見方を示す。
また、「一般的にみて月額価格設定が割高かどうか、スタートしてから見直しも考えていく。保有から利活用の選択肢の中でユーザーがどこにいくのか、網を張っていく」(同)と今後はユーザー動向を慎重に見極めていく構えも示した。