ライフ

おでんのこんにゃくはひと口サイズで、94才料理研究家の工夫

料理研究家・鈴木登紀子さんのおでんレシピ

『きょうの料理』(NHK Eテレ)に約50年出演し続ける「ばぁば」こと、鈴木登紀子さん(94才)。料理本『ばぁば 92年目の隠し味』も話題のばぁばが、今の時期に嬉しいおでんの作り方を語ってくれた。

 * * *
 立春を迎え、暦の上では春ですが、朝晩の冷え込みが厳しい如月。「二月ひと月は小糠三合で暮らす」と諺にありますように、あっという間に過ぎ去っていく慌ただしい月でもあります。

 体調も崩しやすいこの時季、しみじみおいしいのが「おでん」です。かつおの薄だしを張り、頭と内臓を除いた焼き干し(煮干し)を加えて弱火で温めたお鍋に、下ごしらえをした具材を加えて煮ていきます。

 具材についてですが、ばぁばは大きなこんにゃくは感心しないの。お箸で割ることもできず、かじりつくことになりますでしょう? ですから、こんにゃくはひと口でいただけるよう小さな三角にします。これなら子供も食べやすいはずですよ。

 そして今回は、揚げボールとともに串に刺して「田楽法師」に見立ててみました。田楽法師とは、平安時代、田植えの際に豊作を祈願して田んぼで踊った芸人のこと。その舞いは“田楽舞”と呼ばれます。田楽法師は白い袴をはき、竹馬のように長い一本足の竹に乗ってぴょんぴょん跳ねながら乱舞したそうです。

 お豆腐やこんにゃく、里いもなどをつかった田楽は、田んぼで汚れて黒くなった田楽法師の袴と、お豆腐にみそを塗った串焼きの姿が似ているということが名前の由来になったようです。

 じつはおでんも田楽の仲間です。「田」に「お」をつけて“おでん”と呼ぶようになったのだと申します。寒い冬にぴったりのひと品ですが、本来は春を呼ぶおめでたいお料理だったのですね。

あら、そうこうしているうちに、お鍋の中で田楽法師さんがくつくつと踊り始めましたよ。 ここで、いったん火を止めて、具材が冷めるまで待ちます。煮ものは冷めながら味が染みていきますから、おでんもしっかり味を含めます。召し上がる前に温め直して、盛り付けてください。それからくれぐれも、溶きがらしを添えることをお忘れなきように。

◆おでんの作り方

【1】大根は1.5cm厚さの輪切りを6つ用意する。それぞれ皮をぐるりと薄くむき、面取りをして裏側に十字の裏包丁を入れる。鍋に米のとぎ汁8カップを入れ、大根を加えて火をつけ、やわらかくなるまでゆでて水で洗っておく。

【2】好みの練りものや揚げものは熱湯をかけて油抜きし、四角いものは斜め三角に2等分に切る。

【3】こんにゃく4分の1枚は水からゆでて水に取り、厚みを半分に切ってひと口大の三角形に切る。揚げボールとともに串に刺す。

【4】早煮昆布9cmは、幅2cmに切り分けて、それぞれ結ぶ。焼き豆腐は食べよい大きさの角切りにする。

【5】鍋にだし8カップを入れ、頭と内臓を除いた焼き干し(または煮干し)8本を加える。酒大さじ3、塩少量、薄口しょうゆ大さじ4を入れて煮立て、大根を加えて弱火で7〜8分煮る。昆布以外の残りの具材をすべて加えて20分ほどコトコト煮る。

【6】昆布を入れて火を止め、冷めるまでそのままおく。

【7】食べる時に温め直して器に盛り、溶きがらしを添える。

撮影/近藤篤

※女性セブン2019年2月28日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト