犬を蹴る衝撃動画
「言葉を持たない動物たちの被害は、もっと多いと考えられます。虐待を目撃したら、警察に通報してください。また、自治体の保健所や動物愛護センターに相談して行政に働きかけることも1つの手段です。その際に、今回の動画のような証拠があると、通報を受けた側も動きやすくなります」
レイは川村さんの警察への通報によって救助された。しかし、今後、飼い主の元に返される可能性があるという。
「法律上、飼い主はペットの『所有者』です。虐待があるからといって、所有権がなくなるわけではありません。
動物愛護管理法ではペットをみだりに傷つけた者は2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処する、とあります。虐待の充分な証拠があれば、処罰することや保健所が飼い主を指導することができますが、強制的に所有権を奪うことはできません。今回のように、飼い主を説得し、了解を得て、動物保護団体などが保護しているのが現状です。
この飼い主は虐待ではなく“しつけ”と主張しているようですが、その線引きは法律でも曖昧なんです。虐待の判断を警察や検察に委ねるケースも出てきます。飼い主と争うにはさまざまな準備が必要でしょう」(前出・杉村さん)
飼い主の女性も所有権を主張し、今なお「返せ」を繰り返している。
「感情をぶつける対象だったレイがいなくなったことで、飼い主だったかたも不安を感じているようです。でも、今返したらまた同じことの繰り返しになってしまう。レイはもう16才で、この先そんなに長く生きられるわけじゃありません。一日でも長生きしてほしいし、せめて“人間ってそんなに悪いものじゃないな”と思ってほしい。引き取り先を探すのではなく、ここで最期まで看取るつもりです。証拠はたくさんあるので、最後まで争います」(前出・川村さん)
人間にあてはめたら90才、レイが穏やかな晩年を送ることを心から祈りたい。
※女性セブン2019年3月7日号