中国では昨年1年間で少なくとも、1700件以上の労使紛争が起きており、労働者による激しいデモや集会が1日平均で5件以上も行われていることが明らかになった。これは2017年と比べて500件も急激な増加を記録しているが、中国当局の厳しい報道規制により、多くの抗議活動は報道されていないという。香港に本部を置く中国の労働問題専門の民間機関「中国労工通信」の統計をもとに、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が報じた。
同通信によると、中国広東省深セン市にある電子製品メーカーの従業員数百人が1月中旬、工場側には未払い賃金があると主張し、「すぐに給料を支払え」などとシュプレヒコールを繰り返し抗議デモを行った。従業員らは「春節(旧正月=今年は2月5日)を前にして、食料などが買えず、田舎に帰ることもできない」とも訴えたという。
また、中国当局は1月20日、深セン市で「公共秩序を乱した」などとして、労働組合の活動家5人を逮捕した。なお、深セン市だけでも昨年10月1日からこれまで、労働問題をめぐる労使紛争が少なくとも17件発生しているという。
また、同通信によると中国当局は昨年8月以降、中国全土で抗議デモに参加したタクシー運転手や教師、建築労働者、学生など約150人以上を拘束したそうだ。
これは個人消費の低迷や米中貿易戦争により、中国の景気悪化が一段と進んでおり、中国各地で、労働者への賃金未払いが多数出ていることも影響。労働者らは待遇改善を求めるデモを展開しているほか、なかには「給料を支払わなければ飛び降り自殺する」と訴える農民工(出稼ぎ農民)も出ているという。