ライフ

【山内昌之氏書評】日本史の一大転換点となった承久の乱

『承久の乱 日本史のターニングポイント』

【書評】『承久の乱 日本史のターニングポイント』/本郷和人/文春新書/820円+税
【評者】山内昌之(武蔵野大学特任教授)

 承久の乱(一二二一)は、日本史の一大転換点である。この乱以降、武士が朝廷に代って権力を握り、六百五十年にわたって日本の政治に君臨することになった。また、近畿中心の西国の朝廷貴族に対して、東国の武士が優位に立った最初のモメントでもある。

 名前の割に承久の乱の真相が知られていないのは、宇治と瀬田の戦闘があっという間に終わったからだ。本郷氏は、乱の見どころはその前段階にあり、後鳥羽上皇と北条義時という屈指の政治家の駆け引きや陰謀の数々を描いている。

 なかでも、将軍源実朝を「官打ち」(意図的に高い官職に就ける)にして東国武士との間に亀裂を入れ、自らも「西面の武士」を育成して鎌倉幕府の力を削ごうとする上皇の手際が強調される。所領を一所懸命に守る東国武士は、源頼朝に次ぐリーダーとして義時の手腕を認めて京都に攻め上る。鎌倉勢は一万数千騎、朝廷軍は千七百騎というのが著者の見立てである。

 乱後の処断は迅速である。前線で鎌倉勢に刃向かった武士や公家は容赦なく処刑された。後鳥羽上皇の敗因は、西国の守護とその動員力の実体を見誤ったことにある。

関連記事

トピックス

大谷翔平(左/時事通信フォト)が伊藤園の「お〜いお茶」とグローバル契約を締結したと発表(右/伊藤園の公式サイトより)
《大谷翔平がスポンサー契約》「お〜いお茶」の段ボールが水原一平容疑者の自宅前にあった理由「水原は“大谷ブランド”を日常的に利用していた」
NEWSポストセブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
離婚のNHK林田理沙アナ(34) バッサリショートの“断髪”で見せた「再出発」への決意
NEWSポストセブン
フジ生田竜聖アナ(HPより)、元妻・秋元優里元アナ
《再婚のフジ生田竜聖アナ》前妻・秋元優里元アナとの「現在の関係」 竹林報道の同局社員とニアミスの緊迫
NEWSポストセブン
かつて問題になったジュキヤのYouTube(同氏チャンネルより。現在は削除)
《チャンネル全削除》登録者250万人のYouTuber・ジュキヤ、女児へのわいせつ表現など「性暴力をコンテンツ化」にGoogle日本法人が行なっていた「事前警告」
NEWSポストセブン
水卜麻美アナ
日テレ・水卜麻美アナ、ごぼう抜きの超スピード出世でも防げないフリー転身 年収2億円超えは確実、俳優夫とのすれ違いを回避できるメリットも
NEWSポストセブン
撮影現場で木村拓哉が声を上げた
木村拓哉、ドラマ撮影現場での緊迫事態 行ったり来たりしてスマホで撮影する若者集団に「どうかやめてほしい」と厳しく注意
女性セブン
5月場所
波乱の5月場所初日、向正面に「溜席の着物美人」の姿が! 本人が語った溜席の観戦マナー「正座で背筋を伸ばして見てもらいたい」
NEWSポストセブン
遺体に現金を引き出させようとして死体冒涜の罪で親類の女性が起訴された
「ペンをしっかり握って!」遺体に現金を引き出させようとして死体冒涜……親戚の女がブラジルメディアインタビューに「私はモンスターではない」
NEWSポストセブン
氷川きよしの白系私服姿
【全文公開】氷川きよし、“独立金3億円”の再出発「60才になってズンドコは歌いたくない」事務所と考え方にズレ 直撃には「話さないように言われてるの」
女性セブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン