ライフ

七輪の温もりに肩の荷を降ろし「元気になる」大分の老舗角打ち

七輪を囲み山小屋風の倉庫跡でホッとする客たち

 大分市在住の角打ち愛好家たちは、“市内で角打ちのできる酒屋さんはもはや3軒だけになってしまった”と嘆く。そんな3老舗のうちのひとつ、JR日豊(にっぽう)本線大分駅南口から徒歩10分弱の場所にある、昭和29年創業の『大畑酒店』を訪ねてみた。

 店にたどり着き、思わず漏れた「おお、ここだ」のうれしいつぶやきとともに見上げる屋号の看板には、「元気な酒屋 おおはた」と大書されている。

 主人の大畑洋一さん(62歳)が、看板どおりの元気な笑顔で語る。

「いい悪いにかかわらず、時代は常に変わっています。でも、どんな時代であっても人間は誰でも何かを背負って生きているわけでしょ。重いですよね。それをここで一瞬でも降ろして、ゆっくり飲んで元気になって帰ってくれればと。そんな思いもあって、こんな看板にしたんです」

 洋一さんは長男であることで、ごく自然にそれほどの覚悟も持たず、26歳のときに2代目を継いだという。

「でもいつからか、うちに酒を買いに来る人と店でゆっくり話をしたいなと思うようになりましてね。それなら角打ちがいいんじゃないかと。コンビニにという誘いも何度かあったんですが、機会を待ちながら、25年前に店を建て替えたときに、角打ちができるようにしたんです」

 そして12年前に、役目を終えた倉庫を整理し、そこでもゆっくり飲めるようにリニューアルした。これが常連客のほろ酔い心をグッとつかんだ。

「店全体で飲めるようになっているので、みんなそれぞれ好きな飲み場所があるんですけどね。でも、店を入って右奥の元倉庫だったこの空間を気に入ってる人が多いんだな。雰囲気は山小屋風で、気の利いた飾りはガラスの浮き球くらいしかない。暖房も火鉢と七輪に熾した炭火だけ。エアコン?そんなもんありませんよ。夏だって、扇風機とうちわだけだもの。でもそんな火鉢や七輪がいいんだよ。柔らかい温もりが、飲んでる私らを円く包んでくれるし、肴も網の上でおいしく焼けるしね。それから、洋一さん、温美(はるみ)さん夫婦がこれまたとても温かくてさ。それら全部が元気の素になっているんですよ」(60代、電機関係)

関連記事

トピックス

自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
結婚披露宴での板野友美とヤクルト高橋奎二選手
板野友美&ヤクルト高橋奎二夫妻の結婚披露宴 村上宗隆選手や松本まりかなど豪華メンバーが大勢出席するも、AKB48“神7”は前田敦子のみ出席で再集結ならず
女性セブン
NBAロサンゼルス・レイカーズの試合を観戦した大谷翔平と真美子さん(NBA Japan公式Xより)
《大谷翔平がバスケ観戦デート》「話しやすい人だ…」真美子さん兄からも好印象 “LINEグループ”を活用して深まる交流
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「服装がオードリー・ヘプバーンのパクリだ」尹錫悦大統領の美人妻・金建希氏の存在が政権のアキレス腱に 「韓国を整形の国だと広報するのか」との批判も
NEWSポストセブン
野球人・江夏豊が球界に伝えておくべきことを語り尽くす(撮影/太田真三)
【江夏豊インタビュー】若い才能のある選手のメジャー移籍は「大いに結構」「頑張ってこいよと後押ししたい」 もし大谷翔平と対戦するなら“こう抑える”
週刊ポスト
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《私には帰る場所がない》ライブ前の入浴中に突然...中山美穂さん(享年54)が母子家庭で過ごした知られざる幼少期「台所の砂糖を食べて空腹をしのいだ」
NEWSポストセブン
亡くなった小倉智昭さん(時事通信フォト)
《小倉智昭さん死去》「でも結婚できてよかった」溺愛した菊川怜の離婚を見届け天国へ、“芸能界の父”失い憔悴「もっと一緒にいて欲しかった」
NEWSポストセブン
11月下旬に札幌ススキノにあるガールズバーで火災が発生(右はInstagramより)
【ススキノ・ガルバ爆発】「男は復縁の望みをまだ持っていた」火をつけた男は交際相手A子さんを巻き込んで死のうと…2匹の犬を失って凶行に
NEWSポストセブン
再婚
女子ゴルフ・古閑美保「42才でのおめでた再婚」していた お相手は“元夫の親友”、所属事務所も入籍と出産を認める
NEWSポストセブン
54歳という若さで天国に旅立った中山美穂さん
【入浴中に不慮の事故】「体の一部がもぎ取られる」「誰より会いたい」急逝・中山美穂さん(享年54)がSNSに心境を吐露していた“世界中の誰より愛した人”への想い
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《真美子さんのバースデー》大谷翔平の “気を遣わせないプレゼント” 新妻の「実用的なものがいい」リクエストに…昨年は“1000億円超のサプライズ”
NEWSポストセブン