スポーツ

競馬の厩舎コメント「立て直す」とはどういう意味か?

厩舎のコメントをどう読み解く

 思ったような結果が出なかった馬が、出走間隔を開けた後に出てきたとき、厩舎によるコメントや予想紙などで「立て直した」などと表現していることがある。この言葉は具体的にはどういう意味なのか。『週刊ポスト』での角居勝彦調教師による連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」より、お届けする。

 * * *
 中距離で勝てなかった馬が、次走では距離を変えて臨む。これを「距離を見直して立て直す」と表現しますね。

「立て直し」には、目先を変えての出直し、再チャレンジなどの一般的な意味が含まれていて、聞いたほうではなにやら分かったような気持ちになります。しかし競馬の「立て直し」には明確な意図があります。

 たとえば1800mで勝てなかった馬を1400mで走らせる。もちろん勝つことに越したことはありませんが、目的は勝利ではない。頑張ることを覚えさせるための立て直しです。単に長い距離が合わないからということではありません。中距離で勝てないのは、行きたがる掛かりグセが直らず、道中でタメを作れないから。距離を短くすることで一本調子の競馬でもなんとか形になる。

 馬に「タメはうまく作れないけど、ダメじゃないんだ」と思わせたいんですね。

 角居厩舎の4歳セン馬のドラセナがその典型です。2017年10月のデビュー戦(京都・芝1800m)ではコンマ1秒差の2着。悪くはありませんが、どうも掛かるところが気になった。調教も芳しくなく、折り合いがつかない悪弊がレースでも見えたんですね。

 そこで立て直し、距離短縮です。1600mでも折り合い面で不安だったので、11月の次走に1400mを走らせた。1番人気に推されたもののC.デムーロの手綱で5着。「なにやってるんだ」とお叱りを受けそうな結果ですが、陣営としては気落ちしなかった。結果を出すための立て直しではない。立て直すのは、その後の調教です。

関連キーワード

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト