24時間周期で起きる現象(柴田重信教授監修のもと、編集部で作成)
「たとえば看護師や航空会社の乗務員、3交代勤務の工場労働者といった深夜労働を含んだシフト労働者は、乳がんのリスクが1.5倍、前立腺がんが1.3倍になる。さまざまな研究により、体内時計の乱れは生活習慣病やうつ病のリスクが高くなることもわかっています」
ほかにも肥満、心血管疾患の発症リスクも上がるという。さらに、現代女性が直面する大きな問題にも体内時計はかかわっていた。中村さんが話す。
「体内時計が狂うと、不妊の原因にもなります。こんな実験を行いました。生殖時期が終わりに近づいたメスのマウスに週末だけ3時間の夜更かしをさせる。すると通常4日間隔で起きるはずの排卵がバラバラになり、不妊になった。平日と週末の生活時間の差によって“社会的時差ボケ”が起きた結果ではないかと推測しています。妊活中の人は、体内時計を整えることをおすすめします」
また、統計データでは時間別で発生しやすい病気があることが示されている。今まさに多くの人が悩まされているあの症状も例外ではない。
「花粉の飛散が最大化するのは昼ごろにもかかわらず、花粉症の症状がいつ悪化するかといえば、明け方なのです。つまり、人間のアレルギー反応が高まるのがその時間帯というわけ。
同じように、気管支喘息も明け方に発作を起こす人が多く、7時ごろにはリウマチ発作、9時ごろには心筋梗塞も増える。医療関係者の間で“朝は魔の時間“といわれるゆえんです」(柴田さん)
図では、24時間周期で起きる様々な現象を表した。時間により起きる可能性が高い症状がわかる。
「原因がわからないものも多いものの、朝、心疾患が増える理由は察しがついています。人間は寝ている間に汗をかき、水分が抜け、また血液凝固系が高まり血液がドロドロになる。そんな状態にもかかわらず、目が覚めると体は血圧を上げようとするので、血管は泥水を押し流すような状態になってしまい、詰まってしまうのです」(柴田さん)
※女性セブン2019年3月21日号