ほかにも山椒などは、ほんの数年前までならうなぎのための味変&臭み取りアイテムに過ぎなかったが、いまではさまざまな芳香を漂わせる山椒が入手され、料理に活かされるようになった。麻婆豆腐でしびれの「麻」を演出する中国山椒──花椒もいくつかの種類から選んで購入するマニアまで現れた。
スパイスやハーブも多彩になった。もちろんプロのシェフに至っては、よりマニアックな方向へと舵を切っている。中国や台湾、タイ、ミャンマー、ネパールなど現地でしか入手できないようなスパイスやハーブを独自のルートで仕入れたり、自ら現地に足を運ぶシェフまでいる。
ブームを越えた強いトレンドが可視化されるときには、水面下でさらに強い潮流が流れている。牛肉に胡椒、カレーやラムにクミン。ブームやトレンドが文化に至ろうとするとき、そのそばには必ず他のトレンドが寄り添っている。