ライフ

パクチー人気の後を追うクミン 新スパイスブームを牽引

カレーの匂いはクミンの香りが中心(写真:アフロ)

 あるのとないのとでは大違いなのがスパイス。こだわりを持つ食通は増えている。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が指摘する。

 * * *
 改元が行われる今年はスパイス&ハーブ文化元年となるかもしれない。そう思えるほどスパイス&ハーブの使い方が巧みな飲食店が増えている。

 3年前の本稿で「パクチー出荷が5年で3倍増 ついに今年ブレークか」という記事を書いた。それ以前は一部の好事家のものだったパクチーが、この頃から大衆のものになった。その後、実山椒ブームなどを経て、料理店で使われるスパイス&ハーブの存在感は増すばかりだ。

 とりわけ、中華やアジア系の料理に使うスパイスの人気が高い。パクチーの後を追うようにこの数年爆発的な人気となっているのがクミン。カレーには必須の香辛料とされ、中央アジア料理や中国東北地方では、羊肉との相性のよさはつとに知られている。単体のスパイスとしてよく知られるようになったのは最近だが、その輸入量は2016年1894トン、2017年2389トン、2018年2654トンと、2ケタずつという急成長ぶりだ。

 もともとクミンはカレーには欠かせないスパイス。当然カレー粉やカレールウの原料としての大手メーカー向けの需要もあるが、この数年、カレー粉のような市販の混合調味料では飽き足らず、自ら各種スパイスを調合して使う料理人がプロアマ問わず増えてきた。スパイスの世界は奥深い。

 さらには羊ブームである。パクチー人気に火をつけた東京・神田の「味坊」が御徒町に羊肉を前面に押し出した「羊肉味坊」をオープンさせたのが2016年末のこと。以来、羊+クミンという組み合わせが完全に定番化し、以前からあった中国東北地方料理の店も賑わうようになった。

 現代のスパイスブームをくくるキーワードは「細分化」と「引き算」だ。

 スパイスやハーブは産地や品種によって微妙に風味が違う。例えば黒胡椒などは日本ではひとくくりにされるが、インド産だけでも、マラバル、テリチェリー、アレッピーといった品種があるし、インドネシアやマレーシアなどさまざまな国でそれぞれの胡椒を生産している。

 微妙な風味の違いを肉を扱うシェフが使い分け、白胡椒やピンクペッパーなど他の胡椒にも波及効果を及ぼした。胡椒は、2017年の輸入量は8193トンだったのが2018年には9485トンと急増している。

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
3大会連続の五輪出場
【闘病を乗り越えてパリ五輪出場決定】池江璃花子、強くなるために決断した“母の支え”との別れ
女性セブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン