南海電鉄高野線を走る「こうや」は勾配に対応するため車体長が短い
松本駅―新島々駅の約14.4キロメートルを結ぶアルピコ交通は、車窓に北アルプスの壮大な山々を称え、登山客が多く利用する。また、リゾート地で有名な上高地に向かう観光客の利用も多い。
とはいえ、‰会に加盟している6社と比較すると、アルピコ交通は山岳路線や登山鉄道といったイメージが薄い。なぜ、‰会に加盟したのか?
「今回、新たに‰会に加盟した理由は、南海から『入会しませんか?』というお誘いを受けたからです。南海の担当者が弊社の路線に乗った際に、車内が大勢の登山客で溢れていたのがとても印象深かったそうです。その光景を見て、『ぜひとも‰会に』と誘われることになりました」(アルピコ交通鉄道事業部担当者)
‰会の6社は、路線に急勾配区間を抱える。しかし、アルピコ交通の最急勾配は21.4パーミル。これは山岳鉄道・登山鉄道といえるほどの急勾配ではない。実際、東京を走る都電荒川線の最急勾配は66.7パーミルといわれている。66.7パーミルはかなりの急勾配といえるが、都電荒川線を山岳鉄道・登山鉄道と感じる人は皆無だろう。
‰会への入会を誘われた当初、アルピコ交通の社内でも同様の戸惑いがあったという。しかし、‰会に加盟することでアルピコ交通の名前を全国にPRでき、乗客を増やすチャンスにつながるかもしれない。そう考え、アルピコ交通は‰会へ加盟を決めた。
近年、登山ブームやアウトドアブームもあり、高齢者を中心にライトな山登りを楽しむ層が増えている。しかし、登山口までマイカーを使う愛好者も少なくなく、必ずしも登山鉄道や山岳路線の追い風にはなっていない。
アルピコ交通が新加盟したことで、‰会は新たな魅力を発信できるのか? ‰会の今後に期待したい。