◆結婚相談所に登録したことで生まれた余裕
自分に自信のなかったという今日子さん。だが、小学校時代からモテたというとおり、タレントの柳原可奈子を大人しくしたような雰囲気は、異性を引きつけるものがあったのではないか。
「けっこう理想が高かったんです。本や映画の世界ばかりに生きていたから、頭でっかちになっていたのかな……」
つまり今日子さんを気にいってくれる男性はいたが、今日子さんのお眼鏡にかなわなかったということだ。付き合った数人の男性とは、いずれも数か月で破局したという。
「結婚願望はあったので、30歳になったとき、ヤバいと思って、結婚相談所に入りました。と同時に、普通に友達とか知り合いがほしいな、もしかして出会いもあるかもとも思って、読書会にも参加してみたんです」
結婚相談所で紹介される男性がことごとくピンとこなかったのに対して、今日子さんは読書会で理想的な人と出会う。それが、初めて参加した会で隣に座った仁志さんだった。
「顔も好みだった上に、話を聞いて、さらにいいなと。読書会って、本についての感想を語り合うので、早い段階で、その人の価値観とか考え方がわかるんですね。大袈裟にいえば、人生観がわかるというか。彼は、大手企業でバリバリ働いていそうなタイプなのに、全然気取ってなくて、私と好きな本の趣味もあって、この人は信頼できると思いました」
この読書会に長く通いたい、そして仁志さんと仲良くなりたい。そう思った今日子さんは、読書会の後の飲み会など、イベントには不参加を決めた。そういう場こそ仲良くなれるチャンスとも思えるが、今日子さんは反対の作戦をとったのだ。
「数十人の読書会とはいえ、同世代の女子もいて、人間関係で揉めたくないと思ったんです。やっぱり女子の人間関係ってトラウマで……。私は一人っ子で甘やかされて育ったマイペースだから、集団のなかで空気を読めないところがあるというのも自覚するようになっていました。それに、読書会ではできるだけ喋って、でも、飲み会に行かないほうが、彼に気にしてもらえるかな……、なんて魂胆もありましたし」