ルノーのバックにある仏政府は、マクロン政権の政治力や経済政策に暗雲が立ちこめている仏国内の事情に加え、ルノーの業績も低下していることから仏の国策として「ルノーに日産の力を内包させたい」との思惑がある。すでに持株会社方式での経営統合を日産に提案してきている。
一方、日産は「統合は日産の価値を生み出す力を毀損する可能性がある。ネガティブなインパクトが大きいため、統合には否定的だ」(西川社長)と拒否反応が強い。
そもそもこのルノー・日産アライアンスは、1999年に瀕死の状態だった日産をルノーが助ける形で資本提携したことからスタートした。資本提携先のルノーからゴーン氏が送り込まれて日産が再生したことは確かだが、この提携から20年間でルノーは日産から受け取る「持ち分法投資利益」が経営に大きく寄与してきたのだ。
実際、日産の業績がルノーの浮沈に関わり、資本構成ではルノーが“親”だが企業規模や次世代技術力等で日産が圧倒的にルノーを凌ぐ力を持ってきている。
つまり、両社の関係は資本構成でルノーが43.4%を出資し、日産はルノーに15%出資しているが日産のルノーへの議決権はないという“ねじれ現象”にあるのだ。さらにルノーは、元仏の国営企業(ルノー公団)であり、現在も仏政府がルノーに15%出資しており実質的に仏政府の意向が強く反映される。
両社の資本構成と力関係は、ねじれつつも微妙につながってきたのだが“ポストゴーン”でより一体的にして日産を取り込みたいルノーに対し、より対等な資本関係によってアライアンスを維持したい日産の思惑が錯綜しているのが実態だ。
これに2016年に日産が34%出資し日産の傘下入りした三菱自動車が絡んで日仏3社連合の関係にある。三菱自もこの3社連合でシナジー効果を出してこの自動車大転換時代を生き抜こうとしている。