ビジネス

日産・ルノー連合の行方 今さら単独では生き抜けない苦境

社長続投で「立て直しを進める」と意気込む西川廣人氏だが…(EPA=時事)

社長続投で「立て直しを進める」と意気込む西川廣人氏だが…(EPA=時事)

 元会長のカルロス・ゴーン被告が逮捕・起訴されたことで混乱の続く日産自動車の経営。日産の筆頭株主でアライアンス(提携)を組むフランスのルノーは日産に度々「経営統合」を迫っているが、それを拒否している西川廣人氏は“社長続投”の方針を決めた。果たして、このまま日仏連合の関係を維持することはできるのか。佃モビリティ総研代表の佃義夫氏がレポートする。

 * * *
 脱ゴーン体制で新たな経営の方向を目指す日産に対し、提携先の仏ルノーは仏政府の意向で「経営統合」という牙を剥いてきた。しかし、日産はこの経営統合に反発しており、それ以上に苦境に陥っている本業の業績回復が当面の最大課題となっている。

 20年間にわたる日産とルノーのアライアンス関係は、ルノーから日産再建に送り込まれたカルロス・ゴーン元会長の長期支配が終焉を迎える中で、三菱自動車を含めた日仏自動車連合の新たな方向づくりが求められている。

 そんな中、日産が5月14日に発表した2018年度業績と2019年度業績見通しは、非常に厳しいものとなった。2018年度の営業利益は前期比45%減の3182億円で営業利益率は2.7%と大きく低下した。日産の営業利益は10期ぶりにルノーを下回るものとなった。さらに今期(2019年度)の連結純利益予想は前期比47%減の1700億円に落ち込むことを見込んでいる。

 ゴーン体制でのグローバル拡大路線のツケが業績不振となった形で、とくに北米事業の落ち込みが大きい。「業績低迷からの脱却が再優先課題だ」と西川廣人・日産社長は、拡大路線からの転換でリストラも断行して収益性重視で立て直しを急ぐ方針だ。

 カルロス・ゴーン元会長の突然の逮捕から半年が経過する中で、ゴーン元会長の“私物化”による不正容疑は、裁判の長期化が予想されている。これは今後の司法判断に委ねることになるが、すでに日産・ルノーともに脱ゴーンで新たな舵取りが切られている。

 ルノーは15%を出資している仏政府からミシュランCEOのジャンドミニク・スナール氏を新会長に、ティエリー・ボレロ新CEOを内部昇格させてゴーン体制から脱却している。

 一方、日産はゴーン元会長の逮捕の責任論で進退を求められた西川社長が「新たなスタートを切って、立て直しを進めることで、しかるべきタイミングでバトンタッチしたい」と6月の定時株主総会以降も続投となる。株主総会では、西川社長の留任とルノーからスナール会長とボレロCEOが新たに日産取締役陣に加わることになる。

 そこで問題となるのは、ルノー側が日産に度々提案している経営統合の意向である。

関連キーワード

関連記事

トピックス

元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎・ストーカー殺人》「悔しくて寝られない夜が何度も…」岡崎彩咲陽さんの兄弟が被告の厳罰求める“追悼ライブ”に500人が集結、兄は「俺の自慢の妹だな!愛してる」と涙
NEWSポストセブン
グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカル
【ニコラス・ケイジと共演も】「目標は二階堂ふみ、沢尻エリカ」グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカルの「すべてをさらけ出す覚悟」
週刊ポスト
阪神・藤川球児監督と、ヘッドコーチに就任した和田豊・元監督(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督 和田豊・元監督が「18歳年上のヘッドコーチ」就任の思惑と不安 几帳面さ、忠実さに評価の声も「何かあった時に責任を取る身代わりでは」の指摘も
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
「名球会ONK座談会」の印象的なやりとりを振り返る
〈2025年追悼・長嶋茂雄さん 〉「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 日本中を明るく照らした“ミスターの言葉”、監督就任中も本音を隠さなかった「野球への熱い想い」
週刊ポスト
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン