◆育児に孤軍奮闘する女性は注意が必要

 とはいえ、空の巣症候群に陥りやすい人とそうでない人はいる。その違いは何か。前出の宮沢さんは、夫が育児に無関心で、ひとりで無我夢中で子育てをしてきた人ほど注意が必要だという。

「夫が不在がちだったり、育児に無関心なケースほど、女性の関心は子供に集中しがちです。特に専業主婦が孤軍奮闘して子育てをしてきた場合、母親の関心の対象はほぼ子供だけになりがちです。責任感が強く、まじめで、1つの目標に向けて突き進むタイプの女性ほど気をつけましょう」

 一方、子育て以外に情熱を注ぐ対象があり、広く社会に目を向けている人は陥りにくいといえる。

「趣味が多く、仕事にやりがいや責任感を感じている人、交友関係が広い人など、多様な世界を持っている人は、子供の独立直後、少しさびしさを感じたとしても、深みにはまりません」

 例えば、世話好きな人なら、地域の子育てボランティアなどに参加して、家庭以外でも自分が必要とされる居場所を見つけるといい。ペットを飼うのもおすすめだ。アニマルセラピーという言葉もあるように動物は人の心を癒してくれるうえ、子供と違って、一生自分を頼ってくれる存在だからだ。

 また、子育て中から、育児とは関係のない交友関係を広げておきたい。子育てを終えても、社会には自分を必要としてくれる人は、必ずいるのだから。

◆夫やパートナーとの関係を見直してみよう

 夫やパートナーとの関係も重要だ。気軽に相談や愚痴を聞いてくれる相手がいれば、症状はやわらぐため、夫婦関係と症状には密接な関係がある。宮沢さんは診療時、夫にも同席してもらって、こうアドバイスをするという。

「今後は夫婦ふたりの生活に戻るのですから、もっと奥さんに関心を持って、共通の趣味を持つ、旅行をするなどして夫婦の会話を増やし、奥さんの視点や発想を変えられるよう努めてください、と伝えます。子供は巣立っても夫は家に残るのです。空の巣症候群は夫の態度次第で状況が好転するケースが多いのです」

 空の巣症候群は、子供が巣立ってから半年間が勝負。そこをうまく乗り越えられれば深みにはまらないで済むという。

 子育ての目的は、子供を自立させること。子供が家を出るということは、子育てが成功裏に終わったという証である。今後は新たな目的を見いだし、自分の人生を生きてはどうだろうか。

※女性セブン2019年6月6日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン