対談を行った内館牧子氏と坂東眞理子氏(撮影/藤岡雅樹)

内館:編集者もとても喜んでいました。実は今、『終わった人』『すぐ死ぬんだから』に続く3冊目の準備をしていて、自分に重ねて70代の話にしようかと思っていたんです。そんな折にちょうど新聞広告で坂東さんの『70歳のたしなみ』を見つけて買いました。私も同年代なので、納得できる部分がたくさんあって、面白かったです。“あぁ、これは坂東さんと同じ考えだ”とつくづく感じたのが、『可愛いおばあちゃん願望は気持ち悪い』というところですね。

《若い女の子が可愛さを追求するのは男性にモテるためだとしても、高年齢の女性が可愛いおばあちゃんを願望するのはなぜだろう。誰に可愛いと思ってもらいたいのだろうか。(中略)女性は可愛がられるおばあちゃんになるのが幸せなんだと決めつけず、率直に疑問を呈し、自分の意見を言い、新しいことを面白がり、チャレンジする生き生きと魅力的なおばあちゃんを目指してほしいものである》(『70歳のたしなみ』より)

坂東:可愛いおばあちゃん願望の女性は、世の中に多いんですよ。

内館:私も女性誌を読んでいたら、中年女性が「夢は可愛いおばあちゃんになること」と語っていて、何か不快だった。だから同じような指摘を坂東さんの本で見つけて、我が意を得たり! で。坂東さんは以前からそう感じていらしたの?

坂東:えぇ。気持ち悪いですよ。可愛いおばあちゃんになりたい、尊敬される老人になりたい、というのは他人の好意や敬意を得たいと意識していること。人からよく思われたいというのは、自分の意志を貫くことを放棄した責任逃れじゃないかと。

 人の目線で自分を推し量るというのは、女子学生を見ていても常々思うことなんです。『白雪姫』の“鏡よ鏡”じゃないけれど、私はいい人かしら、魅力的かしら、という基準をすべて他人の目や世間の標準に左右されてしまっているんですね。

内館:女子学生や若手の女子社員にとっては、言葉としては消えたけれど“結婚適齢期”とされる年齢層は対他者目線だと思います、やはり。

坂東:そうですね。ただ、その他者の目線を意識することが母親になっても、おばさんになっても、おばあさんになってもまだ変わらないというのは、とても残念です。他者目線に囚われて自分を否定するのではなく、自分自身のものさしを持って自分を肯定しなくちゃ。何かすると嫌われるかもしれない、何も言わない方が好かれるんじゃないかしらと守りに入るのではなく、ならば、どうすれば感じよく自分の考えを話せるか工夫すべきです。

内館:その通りで、若い頃と違って歳を取ったらもう他人の目から解放されていいですよね。ましてや70にもなってそんなこと気にしていられないわよ、って(笑い)。でもそれは老人の開き直りとは違うと思うんですよ。他人の反応をうかがって無駄に人生を狭めてしまうのではなく、自分が大切に思うことをどう実現できるかと考える。そしてそのために行動することも、自分を肯定することに繋がると思います。まぁこれは、私たちがこれまでの人生でさまざまな経験をして、70の大台を超えたから辿り着いた境地かもしれませんが。

坂東:たしかに、昔の自分には決して言えなかったことですね(笑い)。

※女性セブン2019年6月6日号

 

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