ビジネス

「終身雇用廃止」 日本企業にその代償を払う覚悟があるのか

終身雇用の見直しで社員のモチベーションはどう保たれるか

終身雇用の見直しで社員のモチベーションはどう保たれるか

 この春、経団連の中西宏明会長(日立製作所取締役会長)が「終身雇用を守れない」と公言したり、トヨタ自動車の豊田章男社長も終身雇用制の継続について言及するなど、経済界を代表する人物の発言が波紋を広げている。このまま日本的経営の支えでもあった終身雇用の見直しが進んでいけば、「企業にとってデメリットも大きい」と指摘するのは、同志社大学政策学部教授の太田肇氏だ。

 * * *
 経済界トップによる相次ぐ「終身雇用は守れない」発言は、経済のグローバル化やソフト化、急速な技術革新といった大きな潮流の中で、日本企業だけが終身雇用を維持し続けることがいかに難しいかを考えれば、その真意は理解できる。

 とはいえ働く人の教育訓練や退職金・年金などの制度、それに各種の保険や住宅ローンなども含め、社会のシステムが終身雇用を暗黙の前提にしていることを見逃してはならない。終身雇用を廃止するなら、そうしたシステムをどう変えていくかを社会全体で考えていくべきだろう。

 さらに働く人の意識についても注目する必要がある。

 株式会社ラーニングエージェンシーが2019年度の新入社員5673人を対象に行った意識調査の結果をみると、「今の会社で働き続けたいですか?」という質問に対し、「できれば今の会社で働き続けたい」という回答がほぼ半数(50.4%)を占める。まして定年まで働くことを前提に生活設計を立ててきた大多数の社員にとって、いまさら「プロ意識をもて」とか、「自分のキャリアに責任をもて」と言われても困るだろう。

 それでも、先ほどの調査では2015年以降、「できれば今の会社で働き続けたい」という回答の比率は年々低下する一方、「そのうち転職したい」「いつかは起業したい」「フリーランスとして独立したい」という回答の合計は増え続け、29.2%と3割に近づいている。

 こうしてみると乗り越えなければならないハードルはあるにしても、終身雇用見直しの条件は徐々に整いつつあるようだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

12月9日に亡くなった小倉智昭さん
【仕事こそ人生でも最後は妻と…】小倉智昭さん、40年以上連れ添った夫婦の“心地よい距離感” 約1年前から別居も“夫婦のしあわせな日々”が再スタートしていた
女性セブン
去就が注目される甲斐拓也(時事通信フォト)
FA宣言した甲斐拓也に辛口評価 レジェンド・江本孟紀氏が首を傾げた「なんでキャッチャーはみんな同じフォームなのか」
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
NBAレイカーズの試合観戦に訪れた大谷翔平と真美子さん(AFP=時事)
《真美子夫人との誕生日デートが話題》大谷翔平が夫婦まるごと高い好感度を維持できるワケ「腕時計は8万円SEIKO」「誕生日プレゼントは実用性重視」  
NEWSポストセブン
元夫の親友と授かり再婚をした古閑美保(時事通信フォト)
女子ゴルフ・古閑美保が“元夫の親友”と授かり再婚 過去の路上ハグで“略奪愛”疑惑浮上するもきっぱり否定、けじめをつけた上で交際に発展
女性セブン
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
《山口組の「事始め式」》定番のカラオケで歌う曲は…平成最大の“ラブソング”を熱唱、昭和歌謡ばかりじゃないヤクザの「気になるセットリスト」
NEWSポストセブン
12月9日に亡くなった小倉智昭さん
小倉智昭さん、新たながんが見つかる度に口にしていた“初期対応”への後悔 「どうして膀胱を全部取るという選択をしなかったのか…」
女性セブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
無罪判決に涙を流した須藤早貴被告
《紀州のドン・ファン元妻に涙の無罪判決》「真摯に裁判を受けている感じがした」“米津玄師似”の男性裁判員が語った須藤早貴被告の印象 過去公判では被告を「質問攻め」
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン