◆6気筒エンジンの良さに心をうたれる
試乗してみて、最も心に訴えたものが6気筒エンジンの気持ち良さです。回転は滑らかでありながら、アクセルを深く踏めば、レスポンスよく力強い加速が味わえます。正直、日本のワインディングでは、パワーを持て余すほどです。
そして、高回転まで回ったときのエンジン音の良さには、クルマ好きにたまらないものがあります。やや高音の澄んだサウンド。この音をドライバーに聞かせるために、車内後ろ側の遮音材をわざと減らしているとか。スポーツモードにしてアクセルを戻せば、後ろから“ババババ”というアフターファイヤーの音が聞こえます。これにもビックリ。回顧主義かもしれませんが、古き良きスポーツカーを思い起こさせる演出です。
6気筒が素晴らしいから、4気筒はダメかというと、そうではありません。4気筒ターボは、6気筒に比べると、振動もあり、エンジン音はより低音です。でも、それが図太く、ワイルドに感じることができます。
パワー感は、やはり劣りますが、それでもGRスープラの車体のサイズ感(のってみると、小さく感じます)であれば充分以上。86が207馬力ですから、ほとんど同サイズのGRスープラであれば、一番下のSZでもパワーに不足はありません。ただし、GRスープラの価格を考えると、86と同じ程度の馬力では、ちょっと残念なはず。売れ筋は、ミドルグレードの「SZ-R」か、6気筒の「RZ」になるでしょう。
コーナリングは予想した通りのものでした。電制制御のアクティブデフのおかげか、高速コーナーやコーナーに入る前のブレーキングも安定感が高く、不安を感じさせません。
また、Uターンするような、小さなきついコーナーでの小回りの良さには、ちょっとびっくりするほど。また、ハンドルを切ったときの、鼻先の動きの軽快さは、軽量な4気筒エンジン搭載車が6気筒を勝ります。つまり6気筒の「RZ」よりも、4気筒の「SZ-R」と「SZ」の方が、より軽快に走ることができます。
ちなみに、電子制御のアクティブデフのない「SZ」ですが、ちょっと攻め込んでいくと、ほかよりも早めにタイヤからスキール音を発していました。ただし、タイヤのグリップ力以下で走行するワインディングでは、ほとんど不安は感じません。もしも、電子制御のアクティブデフやオープンデフが気に入らなければ、購入後に機械式のLSDを装着するという選択も、スポーツカーならありでしょう。このへんの細かい味付けを自在にできるのもスポーツカーの醍醐味です。