観客のウケを常に意識するようになってから、「同じマジックでも客層によって反応が全く違う」ことに気づいた。
「パーティなどでショーをする際は、事前に男女比や年齢層を必ず確認し、それに合わせて準備をします。例えば男性が多い会場では、衣装を少しセクシーなものにして見た目をより大切にしたり、小道具の傘で相合傘をして盛り上げたり。また会場によって火や動物を使えなかったり、音響設備がなかったりするので、そうした様々な事情を考慮してショーを組み立てます」
華麗にショーをこなしているように見えるが、舞台裏では苦労が絶えない。
「まずイリュージョンは危険なんです。派手な分、打ち身は日常茶飯事で、骨折することもある。それに体型維持が重要。数センチ違うだけで仕掛けに入れなくなります(笑い)。そうした苦労はありますが、ステージ終了後、お客さんが拍手をくれたとき、大袈裟ですけどこのために生まれてきたって思うんです。その瞬間が一番好きですね」
現在はマジシャンとして活動しつつ、当初志望していたタレント業へも進出するようになった。だが、体力が続く限りステージに立ちたいと語る。
「目標は私のマジックを見たお客様が感動して涙を流してくれること。自分が初めてショーを見たときの感動・衝撃を、自分のパフォーマンスで味わってもらいたいと思っています」
●撮影/藤岡雅樹 取材・文/斉藤裕子
※週刊ポスト2019年7月12日号