小学校のPTA会長を3年間務めた俳優の宮川一朗太
PTA組織には、大きく「委員(クラス役員)」と「本部役員」がある。各クラスごとに選出する「委員」は、「学級委員」を筆頭に、広報誌を作る「広報委員」、講習会などを開催する「文化委員」、パトロールなどを行う「校外(安全)委員」などがあり、子供が卒業するまでの間に必ず1年は何かしら担当するという学校が多い。小学校の場合は、卒業式関連の準備がある6年生の時が敬遠され、低学年のうちに委員を済ませたがる保護者が多い傾向にある。
その委員をまとめ、PTA全体の運営に携わるのが「本部役員」で、会長、副会長、書記、会計などがある。
メディアでよく取り上げられる新年度の「役員決め」は主に「委員決め」のことで、誰かが引き受けるまで、数時間を要するがまん比べになることも珍しくない。
一方で、本部役員は前年度から内定していることが多い。長女が小学6年生、次女が4年生の時から3年間PTA会長を務めた俳優の宮川一朗太(53才)は、会長になった経緯をこう振り返る。
「ある日、玄関の前に2人の女性が立っていて、『PTA会長をやってください』とお願いされました。『現会長がどうしても引き受けられなくなって、なり手がいないんです』と頼まれ、即答はできなかったのですが、やむなく引き受けました。歴代、自営業者や専業主婦など比較的時間に融通の利く人が役員をしていたこともあり、自然と白羽の矢が立ったようです。ぼくの断れない性格を見越して言ってきた面もありましたけどね(笑い)」(宮川・以下同)
その際、「入学式と運動会と卒業式の3回だけあいさつしてくれればいい」と説得されたそうだが、現実には、4月だけで5回もあいさつの場があったという。
入学式前に行われた初めての会議で、宮川は学校の「裏の顔」を見る。
「保護者側と先生が、いきなり言い争いになって。『行事の予定表が回ってこない』『こっちは多忙な中、調整しているんだ』と半ばけんか腰の話し合いで、これはまずいなと。入ってきたばかりの人間が指摘するのも気が引けたので、1年間を通して直していこうと決めました」
笑顔を絶やさず、場が和む話題の提供を積極的に行い、笑い声が起こる会議へと変えていったという。その頃、PTA役員の中で、男性は宮川ひとりだった。
「他校も含め、90%以上がお母さんでした。ドラマなんかで描かれる“ボスママ”のような人は実際には滅多にいませんが、男ばかりの国会がおかしいのと同じで、女性だけのPTAもどこかしらいびつさが生まれるんです。たとえば、不審者の問題などは、男性も参加して話し合うことが必要。父親がもっと参加しなければならないと、ぼくは言い続けています」
宮川のような意見もあり、男性の参入も増えてきているが、現実はまだまだ「お母さんの会」だ。
※女性セブン2019年8月15日号