◆「みんな平等」にするために、必要のない仕事が増える悪循環が生まれている
しかし、どのように変わるべきなのか。まずはPTAの歴史をおさらいして、ヒントを得たい。
「PTA」とは、〈Parent(親)―Teacher(教師) Association(組織)〉の略。終戦直後の1946~1947年にかけて、連合国軍最高司令部(GHQ)の指導によって全国の学校に設置された。
「子供たちの環境をよくするため親と先生が協力しようという任意の団体で、当初は大人たちに民主主義を学ばせる場としての役割を果たすことも期待されました」(大塚さん)
それから70年あまりが経過して、PTAをめぐる環境は大きく変化している。
7月2日に厚生労働省が発表した「2018年の国民生活基礎調査」によると、18才未満の子供がいると答えた世帯で、「働いている」と答えた母親は72.2%。調査を始めた2004年から20%近くアップし、過去最高を更新した。
さらに、経済協力開発機構(OECD)が世界48の国と地域の中学校教員について調べた結果を6月19日に発表。日本の教員の仕事時間は週56時間で、世界平均の38.3時間を大幅に上回りトップ。しかし、授業時間は18時間で、世界平均20.3時間を下回るという現状が明らかになった。小学校を対象にした同調査でも、日本の教員の仕事時間だけが唯一50時間を超えた。
多忙を極める現代の「親」と「先生」をつなぐ組織であるPTAが、「例年通り」を維持しようとすればするほど軋轢が生じるのは当然のことだ。
「40年前の本を読んでも、PTAの活動に関しては今とほとんど変わらないことが書いてあります。しかし、40年前は専業主婦が多く、きつく強制しなくても参加するお母さんがまだいた。専業主婦が減少し、『やりたくない』という空気が強まったのは’80年代くらいからでしょう。
さらに学校側が、同じ人がずっとPTA役員をやることで力を持つようになるのを嫌がり、『みんなで少しずつ分担しましょう』と声がけしてきたことも、現代の『強制的PTA』につながっていると考えられます」(大塚さん)
任意のボランティア団体であるにもかかわらず、全員が平等にPTA活動をやるために、必要のない仕事を増やすという悪循環が起こっているケースもあるという。
強制参加が当たり前になると同時に、嫌われ度もアップ。「エッセオンライン」が7月に公開したアンケート調査では、PTAを好意的に捉えている人は312人中わずか23人という結果が報告されている。