国内

PTA、前例踏襲主義の限界 40年前とやることは変わらない

「役員決め」は入学式が終わった後、そのまま行われることも少なくない(写真/PIXTA)

 長かった梅雨が終わり、とうとう迎えた夏本番。太陽はさんさんと輝くが、夏休みに突入した小学生の子供を持つママたちのグループからはため息が聞こえてくる。

「世帯数が少ないから、今年はプールの監視当番が2回も回ってきた」
「学区パトロールで割り当てられた日は、前々から実家への帰省が決まっていた。当番を変わってくれる人を見つけるのに一苦労」
「子供が楽しみにしている保護者同伴のキャンプ。下の子の世話があるから、夫に行ってもらいたいのに、まったく協力しようとしない!」

 子供は学校が休みで毎日家にいても、PTA活動は夏休みにも動きがある。忙しいママたちにとって、「面倒くさい」というのが本音だが、その背景にあるのは、必ずしも“やる気がない”ばかりではない。

 今年、長女が小学校に入学し、初めてのクラス委員を務めるA子さんは言う。

「毎年恒例の夏祭りの出し物の話し合いで、せっかくならとインターネットでリサーチをして、他校で行われていた楽しそうなイベントの提案をしてみたところ、『前例がないことはやりたくない』と本部役員がすべて却下。噂には聞いていましたが、ここまで前例踏襲主義だと、参加していてもおもしろくない」

 A子さんの言うように、「前年通りにやること」を目的にしているPTAは多い。PTA問題に詳しいジャーナリストの大塚玲子さんは、指摘する。

「“例年通り”は最も安全な道。みんなに『これでいい?』と意見を聞かなくても反論が少なく、『どうして変えたの?』という批判も生まれにくい。そうやって“例年通り”が繰り返されるうちに、“例年通りであること”が目的化されてしまうのです。しかし、これでは一体、何のためのPTAなのかわからない」

 近年、「ブラックPTA」とも呼ばれ、ネガティブなイメージが定着しているその原因は、「子供たちのため」という本来の目的を忘れ、波風を立てないように建前だけの活動を強制的に行う「PTAのためのPTA」になってしまっていることが大きい。そんな状況を変えるには、「夏休みが勝負」と大塚さんはアドバイスする。

「特に小学校はPTAの仕事が多く、2学期が始まると一気に年度末まで駆け抜けます。すると、また同じように新年度が始まってしまう。何かPTAを変えたいと考えているなら、夏休みから根回しをして、『来年度はこう変えてほしい』ということを少しずつ役員にアプローチしておくチャンスです」

「どうせ変わらない」とあきらめてはいけない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
阿部なつき(C)Go Nagai/Dynamic Planning‐DMM
“令和の峰不二子”こと9頭身グラドル・阿部なつき「リアル・キューティーハニー」に挑戦の心境語る 「明るくて素直でポジティブなところと、お尻が小さめなところが似てるかも」
週刊ポスト
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン