練り製品には「ソルビン酸」が多く使われている(写真/PIXTA)

「ソルビン酸は、水に溶けにくいがアルコールには溶けやすいという性質がある。ソルビン酸が多く含まれているのは、かまぼこやちくわなどの練り製品です。つまり、お酒のつまみに練り製品を食べると、アルコールにソルビン酸が溶ける。溶けた物質が、どのように体内に吸収されるのか、影響があるのか、危険性の有無は、まだ実証されていません」

 ただし、そうした保存料の危険性は、知ってさえいれば、「原材料名」表示をチェックして、口に入れなければいいだけともいえる。

 食品保存料のもっと重大な問題は、保存料の目的で使われている添加物でも、「保存料」と表示されない、“ステルス保存料”というべき成分があることだ。そうなると、表示をチェックしても避けることができない。

 その1つが「ナイシン」という添加物だ。

「ナイシンは乳酸菌が作り出す抗生物質です。抗生物質は菌や細胞を殺すものですから、医療で使うのが大原則。ですが、バクテリアの増殖を抑える効果があるので、食品に使うことも認められています。

 しかし、大きな問題は、原材料名に『保存料(ナイシン)』と書くと印象がよくないので、『発酵風味料』『発酵調味料』と表記するケースがあることです。このような場合には、そもそもナイシンを保存料として表示する義務がないんです。乳酸菌を使って培養した『発酵風味料』はほかにもあるので、そう表示されると、ナイシンが入っているかどうかはわからなくなる」(小薮さん)

 体に及ぼす影響は、ソルビン酸より重大だとされる。

「ナイシンはほかの添加物に比べて扱いが厳しい。食品安全委員会の発表では、1日の許容摂取量はソルビン酸が体重1kgあたり25gに対し、ナイシンは0.13mgです。そのくらい、微量でも体への影響が大きいとされ、使用が制限されている物質です。

 食品からナイシンを摂取しすぎると、食品に含まれている耐性菌が体内に入ってしまい、本当に抗生物質が必要になった時に効かなくなってしまう恐れがあると指摘されています」(小薮さん)

チーズには「ナイシン」が保存料として多く使われている(写真/PIXTA)

 郡司さんも言う。

「発酵調味料は日持ちをよくするので主に弁当や総菜類に使われていますが、問題のない調味料が使われているケースもあれば、抗生物質のような薬材の可能性もある。『発酵調味料』と書かれていても、正体が何なのかはわからないのです」

「発酵」と聞くと体にいいイメージを抱いてしまうが、それこそが罠。思いがけない危険が潜んでいることを覚えておきたい。

※女性セブン2019年8月15日号

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