そうしたパニックを防ぐには、適切な避難行動を指示するアナウンスが重要だ。しかし、会場に配備されるスタッフの多くは“プロ”ではなく、組織委員会が集めた「ボランティア」だ。
「緊急時の避難誘導を行なうには、専門知識はもちろん、会場の構造を熟知し、何度も訓練を受けることが必要です。状況に応じた判断も求められ、数万人規模となると防災の専門家ですら対処が難しい。学生や一般人で構成されたボランティアが、適切に観客を避難誘導できるとは思えません」(前出・広瀬教授)
約11万人のボランティアスタッフのうち、外国語対応ができる人数はさらに限られる。五輪観客の2~3割が外国人と見積もられる中、緊急時の対応が行き届くかは疑問である。
※週刊ポスト2019年8月16・23日号