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ゲリラ豪雨時の渋谷の恐怖、その他危険地帯の見分け方

集中豪雨による被害が後を絶たない(Ph:Getty Images)

 33日連続──今年の梅雨は記録的な「長梅雨」になり、東京都では6月下旬から約1か月にわたって雨が降り続いた。統計開始以来、過去最長の記録だそうだ。

 関東甲信の梅雨明けは、昨年に比べて1か月も遅く、鹿児島、熊本、宮崎では総雨量800mmを超える豪雨が降り注ぎ、相次いで水害にともなう避難勧告が出された。気象庁によると、1時間に50mm以上の大雨が降る可能性は1970~1980年代に比べて3割も増えているという。地球規模の気候変動の中で、日本列島を襲う豪雨は確実に増加しており、「水害から命を守る知識・行動」は全国民に必須のものとなっている。

 防災コンサルタントの岡本裕紀子さんが指摘する。

「大切な人や財産をあっという間に丸のみにしてしまう水害は確かに恐ろしいものです。平成の30年間をふり返ると毎年必ずどこかで水害が発生してきました。しかし、水害が地震と違うのは、天気予報である程度は『予測できる』ということ。きちんとした知識をもって備えれば、自分や家族の命を守ることができます」

◆渋谷の交差点は立つのも危険

 そもそも、なぜ今大規模水害を招く豪雨が次々に発生しているのか。気象予報士の森朗さんが解説する。

「大きな原因の1つは、地球温暖化により、海水の温度が上昇したことです。日本列島に雨を降らせる雲は、東南アジアや太平洋の熱帯地方で形成されます。温暖化によってそれらのエリアの海水温が上昇し、水蒸気が多く発生するようになった。それが雨雲となって、次々と日本に流れ込んできているのです」

 2019年3月、世界気象機関(WMO)は2018年の世界の平均気温が19世紀半ば以降で過去4番目に高かったと発表。「すぐに温暖化対策をとらなければ取り返しのつかない影響を及ぼす」と各国政府に対し強い口調で対応を呼びかけた。

 つまり、連続して日本を襲う異常気象は「たまたま、一時的」に起きたものではなく、今後何十年にもわたって多発していく可能性が高いのだ。

 東京都職員として江戸川区土木部長などを歴任し、水害対策に詳しく、『水害列島』(文春新書)の著書がある土屋信行さんが警鐘を鳴らす。

「気候変動により、今の日本では大雨や洪水が多発するのに、『住んではいけないところ』に住んでいる人が多くいる。水害が起きた時、真っ先に危険地帯になる場所で、何百万人もの人が家を建てたり仕事をしたりしているのが現状です」(土屋さん・以下同)

 土屋さんが特に危ないと指摘するのは、「ゼロメートル地帯」と呼ばれる海水面以下のエリア。

「工業用水として地下水をくみ上げたことで地盤沈下を引き起こし、土地の高さが海面以下となった場所を指します。東京・大阪・名古屋など日本の中枢都市に多く存在し、住んでいる人の数は400万人を超えます。地下水のくみ上げは現在は行われていないものの、一度沈下した土地は戻らない。このエリアの人口は増える一方なのです」

 生活者が多く、都市機能の中枢として重要な場所が該当するだけに、リスクは大きい。

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