ライフ

一人で6年かけてコツコツ、ネックスピーカー開発秘話

開発に6年をかけた人気のウェアラブルスピーカー

『AQUOSサウンドパートナー』(実勢価格約2万3000円前後)、約280g)は、映画や音楽を高音質で臨場感たっぷりに楽しめる、首にかけるタイプのウェアラブルネックスピーカーだ。開発したのは、シャープの新規オーディオ開発部・蓑田英徳さん。技術者として自分が作りたいモノを作る自主活動の中で、6年という時間をかけて、ひとりでコツコツ試作を行ってきた商品だ。

 昨今のテレビは薄型で、スピーカーも小さく薄い。すると、音質面ではどうしても迫力や臨場感のある音を出しにくくなってしまう。テレビの映像はどんどん美しくなっていくため、それに見合った音質を提供したい。そう考えたのが開発のきっかけだった。

 試作品は、ホームセンターで揃えた道具を使い、手作りしたという。最初に作ったのは、首にかけるためのパイプにスピーカーがついているもの。有線ケーブルで音源とつなぐ。

 試作検証を進める中で、音質を高めるには、音の振動を体に直接伝える方法がよいのではないかと考えた。具体的には、スピーカーに蛇腹をつけて振動させ、その振動を体に伝えることで重低音を体感できるような試作品を作った。

 これこそが、サウンドパートナーの内部に組み込まれているパッシブラジエーター型とバスレフ型の組み合わせ構造へとつながっていく。

 2017年には無線回路を組み込み、スマートフォンの音源をスピーカーに飛ばせるように進化。この時期から、会社として商品化を推し進めることになり、さらに小型軽量化を目指して外装などの設計を行った。小型化と高音質の両立という課題をクリアし、晴れて2019年3月に発売となる。

 サウンドパートナーは、映画やゲームなどの迫力ある重低音を楽しむだけでなく、ニュースやナレーションなど人の話す声を聴きやすくするモードも選択できる。「夜遅くに帰宅したお父さんが、家族が寝静まったリビングでテレビを見る時にもおすすめです」と蓑田さんは語る。

※女性セブン2019年9月26日・10月3日号

手作り感あふれる試作品(一部)からは6年間の試行錯誤がうかがえる

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト