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2019.09.23 16:00  NEWSポストセブン

踏切事故で高まる立体交差化の要望 実現までの道のりは

立体交差化が完了した西宮駅には、阪神百貨店を核とするショッピングモールがオープンした

立体交差化が完了した西宮駅には、阪神百貨店を核とするショッピングモールがオープンした

 踏切廃止は行政も鉄道事業者も沿線住民も賛成する事業だが、その手法を巡ってはさまざまな意見が噴出する。そのために、立体交差化は着工から完了まで約20年の歳月がかかる。

 阪神電鉄の西宮駅一帯は、兵庫県・西宮市・阪神電鉄の3者によって高架化工事が進められた。1980年から2001年まで、工期を3期に分けて工事を実施。21年もの歳月を要した工事にはさまざまな配慮がなされた。

「高架化工事中の1995年に、阪神淡路大震災が発生しました。震災では、工事区間のみならず阪神線や周辺が被災しています。それらの復旧工事が優先されたので、当然ながら工期も延びました。そうした要因もあるので、ほかの立体交差化と多少は事情が異なるかもしれません」と前置きしながら話すのは、工事主体になった兵庫県阪神南県民センター西宮土木事務所の担当者だ。

 西宮駅一帯は特殊な事情を抱えているため、土木工事を施工する際は細心の注意を要する。その特殊事情とは、西宮で湧出する名水「宮水」の存在だ。

 西宮市から神戸市にかけての一帯は、鎌倉時代から現在にいたるまで酒造りが盛んな地域として知られる。同エリアは主に西郷・御影郷・魚崎郷・西宮郷・今津郷の5つから成り立っており、それぞれの地域で美味い酒づくりを競っている。

 西宮郷は宮水と呼ばれる名水が湧き出る。酒造りに美味しい水は欠かせない。全国各地から名だたる酒造メーカーが宮水を求めて西宮に酒蔵を進出させるほど、宮水は格別の味とされる。

 そうした伝統がある酒造りの地・西宮ゆえに、貴重な財産になっている宮水を涸らすことは許されない。阪神の高架化工事では、宮水への厳重な配慮が求められた。

 そのため、阪神の立体交差化は地下化ではなく高架化が選択される。その高架化工事も一筋縄ではいかなかった。

「阪神の高架化工事では地元の酒造メーカーが主導する形で、酒造関係者や学識経験者による宮水保存調査会が組織されました。そして、宮水保存調査会が水量に変化がないか水質に異常はないかと確認をしながら工事を進めました。そのため、一気に施工することはできません。調査と確認を繰り返しながら、少しずつ工事を進めたのです」(同)

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