京王線沿線にある連続立体交差事業のための事業用地
地下化ではなく高架化を選択しただけでは、十分な宮水対策にはならない。線路の高架化工事には、高架線を支えるための太い橋脚を立てる必要がある。その基礎工事段階でも宮水対策が講じられた。
「高架線の基礎には、5センチの穴が開いた杭を使用しています。もちろん、強度に問題はありません。これは、地下水が通水できるようにパイプの役割を果たしています。また、埋め戻しの際は、粒径の大きな土砂を敷き詰めることで通水を確保するように配慮しています」(同)
こうした宮水への配慮がなされて、西宮駅一帯は高架化を実現。しかし、宮水保存調査会は念には念を入れている。工事終了後の2002年にも宮水の状態を調査したのだ。
翌年、宮水保存調査会は報告書を提出。工事そのものは終わっていたが、宮水に異変が起きていないことが確認されたことで、ようやく西宮駅の立体交差化事業は幕をおろした。
苦難の末、西宮駅一帯は立体交差事業を終えた。それでも、阪神には立体交差化されていない区間が残る。そのため、現在も立体交差化工事が進められている。