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『サッちゃん』、バナナ半分しか食べられぬの内容が気になる

かつてバナナは高級果実だった(写真/アフロ)

 本誌・女性セブンのオバ記者こと野原広子は先日、取材で地方を訪れた時、子供たちが数人で『はないちもんめ』を唄いながら遊んでいた光景を目にした。あぁ懐かしいなぁと目を細めたのも束の間、背筋がゾクリとしたという。

 誰もが子供の頃、なんの気なしに口ずさんでいた童謡の数々には、実はとってもコワい意味が込められているとオバ記者は考えているからだ。そこで今回は「本当はコワい童謡」の『サッちゃん』について考えてみた。

 * * *
『サッちゃん』の歌詞の2番が気になって仕方がない。

 この歌は昭和34年10月に発表されたそうだけど、サッちゃんはバナナが大好きという最初のフレーズに驚いた。あの当時、バナナが嫌いな子供がいただろうか。

 私が初めてバナナとパイナップルをこの目で見た日のことは、はっきりと覚えている。集落の大きな家のお葬式で、私は学齢前だった。

 金色の祭壇の両側に、大きな化け物の手のようなバナナの房と本物のパイナップルが飾ってあって、目が離せなかった。亡くなったのは私より1つ年上の子の母親で、今思えば仏様は30代だったのではないか。豪華で悲しいお葬式だった。

 そんなわけで今でもバナナは人の死とダブって、記憶の奥底に居座っている。そして2番の歌詞には、サッちゃんがバナナを半分しか食べられないことについて言及し、それを可哀想だとしている。

 調べたら作詞家の阪田寛夫さんは、大阪で海運業を営んでいた家で生まれている。生まれ育ちで、バナナひとつに対する思いがこんなにも違うものか…。さて、今まで誰にもしたことがない話。

 私が生まれ育ったのは、室町時代に栄えた城下町。町中には今でも古い民家が残っていて、毎年2月、旧家が古いひな人形を公開している。

 91才の母親は覚えているかどうか。

 小学校低学年の頃、村はずれの寂しい農道を母親と歩いていたら、焚火にしては大きな燃え跡がある。何だろうと思いながら、黒焦げの縁をまたごうとしたら、母親に「またぐなっ」と緊迫した声で止められた。

「人が焼かれた跡だ。泥棒したり、人を殺したり村の掟を破ると、こういうことになるんだよ」

 今にして思えばそんなこと、あるわけがない。その時だって、無学な母親の話をまるきり信じたわけではないけれど、その口調に、この人は人が焼かれた跡を見たことがあるんだと身震いした。

 厳しい社会情勢だけではない、村の掟、ならわし。わが故郷だけではない。たぶん日本中に法律が届かない闇に沈んだ生き死にがあったのではないか。

 そんなことを思うせいか、不穏な歌詞が含まれている童謡を、私はうかつに口にしないようにしている。

※女性セブン2019年9月26日・10月3日号

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