プレミアムなブランド価値向上を目指すマツダ「CX-30」
マツダの丸本明社長が以前、「当社の目指す姿は、欧州プレミアムの賢い選択肢になること」と語っていたように、BMWやベンツ、フォルクスワーゲン、アウディといったメーカーのクルマと対比して、性能、機能、装備などは互角ながら価格は割安、というポジションを目指している。
とりわけ、同氏が「アウディも、徐々に徐々にブランド価値を上げてきた」としていたように、ベンチマーク的存在のメーカーがアウディであることも窺える。アウディは、かつてロータリーエンジンの元祖、NSUを吸収合併しているし、ダウンサイジングターボより排気量最適化のライトサイジングに注力している点も、マツダと考え方が似ていると指摘する向きは多い。
とはいえ、アウディに匹敵するようなブランド力を構築するのはもちろん簡単ではなく、コストも時間もかかる。少しずつブランド価値を上げ、連動してクルマの価格も少しずつ上げていく方式を、マツダの幹部は“尺取虫”にたとえている。
尺取虫は前進する際、背中をいったん上へ伸ばすが、その部分が付加価値や価格だとすれば、そこから前進した分が販売力やブランド力ということになる。これを繰り返していくことで、より高い次元に移行しようというわけだ。「MAZDA3」や「CX-30」でスタートを切った第2ステージは、その高みに行けるかどうかの試金石にもなる。
もちろん、この新世代の2車種だけで評価が決まるわけではない。1つは、来年のフルモデルチェンジが噂される「MAZDA2」だ。
「MAZDA3」をベースとしている「CX-30」を考えれば、新型の「MAZDA2」が出た後、スモールクロスオーバーSUVとして、たとえば「CX-20」が出たとしても不思議ではない。ひょっとすると、「MAZDA2」そのものが、従来のハッチバックスタイルからSUVに切り替わるのではといった観測もあるようだ。
また、現在の「CX-3」は現行の「MAZDA2」をベースにしているので、向こう2年ぐらい継続販売した後は消滅していく可能性もある。