「穏やかに最期を迎えるためには、痛みなどを和らげる緩和ケアをきちんと施してくれる医療機関を選ぶ必要があります。そういったところを見つけるためには、事前によく相談して具体的に質問をすることです。『痛みが出た場合はどうしますか』『医療用麻薬の使用についてはどう行っていますか』『(亡くなる前の数日間、耐えがたい苦痛を感じた患者を眠らせる)鎮静についてはどうですか』などと尋ねてみましょう。その答えが曖昧だったり、回答に不安を覚えるようなら、可能ならばほかにもあたって比較して決めることも考えたほうがいい」
また、日本人の“美徳”が安らかな死を遠ざけることもある。昭和大学病院緩和医療科の診療科長を務める医師の岡本健一郎さんはこう語る。
「日本人は痛みをがまんする傾向があります。痛みをがまんすることで自律神経に変化を与えたり、不眠や食欲不振になったり、気持ちが張り詰めたりして、却って全身に悪影響を与えます。
今は痛みをがまんしなくても、安全な薬でコントロールが可能になっています。昔のドラマのように、激痛に耐えて苦悶して死ぬということは、ほとんどないのです」
自分や家族が最期を迎える場面を思い浮かべることには抵抗があるかもしれないが、それをタブー視せず具体的に描いていくことで、後悔しない安らかな死が迎えられるかもしれない。
※女性セブン2019年10月10日号