高濃度乳房(右)では、がん細胞が隠れて見えづらくなりやすい
◆服を着たままできる乳がん検診が
日本人女性の11人に1人が患い、2016年以降、死亡者が1万4000人を超えた乳がんだが、早期発見すれば9割が助かるといわれている。
それにもかかわらず検診率が低いのは、欧米人に比べて乳房が小さい日本人は、乳房を片方ずつ圧迫板に挟むマンモグラフィー検診で痛みを感じやすいからだろう。マンモグラフィーでの検診時に、「小さくてすみません」と恥ずかしがる患者もいるという。
「アンケートを行うと、『痛い』だけでなく、『見られる』ことも検診を避けている原因だとわかりました」
そう話すのは、無痛MRI乳がん検診の「ドゥイブス・サーチ」の考案者である東海大学教授で放射線医の高原太郎さんだ。
最新のMRI技術を用いた同検査では、10~15分、乳房型にくり抜かれたベッドにうつ伏せに寝るだけで断層画像の撮影が完了する。
「痛みがないのはもちろん、服も着たままで構いません。マンモグラフィーでは、乳腺が多い『高濃度乳房』の人において診断能が半減すると指摘されていますが、その心配もありません。さらに、マンモグラフィー不可となる乳房インプラントやヒアルロン酸注入などをしている場合でも、支障なく検査を受けられます」(高原さん・以下同)
現在、マンモグラフィーは乳腺が発達している40才未満の人の受診は推奨されていない。また、MRI検査なら放射線を使用しないことも安心だ。さらに、「ドゥイブス・サーチ」では、従来の「造影MRI」で欠かせない造影剤の注射も必要ない。