ライフ

孤食は肥満や低体重、うつにも いかにリスク回避するか

戸山ハイツの健康、医療、介護などの相談拠点『暮らしの保健室』で行われている“からだに優しい食事会”。1人500円

 高齢者の独居は増える一方だ。高齢者を対象にした大規模疫学調査によると、ひとりで食事をする“孤食”は欠食、野菜やくだものの低摂取頻度、肥満、低体重、うつ、さらには死亡にも関連するという。

 家族と同居していても、生活サイクルの違いなどで、孤食になる高齢者も少なくないというが、住居や生活形態の面から孤食問題を解決するのは、現実には難しい。しかし、食事は生きる基本であり、喜びでもあるはずだ。

 たとえ孤食でも、老親にとってよい食生活を支えるために何ができるか。地域の食支援にも尽力する大妻女子大学教授で著書に『老後と介護を劇的に変える食事術』(晶文社)などがある川口美喜子さんに聞いた。

「高齢になると咀嚼や嚥下の機能が落ちて、硬いものを食べるのが億劫になります。するとつい、やわらかくて食べやすいものばかりを口に入れる。とりあえずお腹を満たすことが食べる目的になりがちです」と言う川口さん。

 たとえば朝はアンパン、昼はそば、おやつにアイスクリーム、夜は簡単な総菜やおにぎり。その都度、満腹になり、なんとなく“食べている”気になるのは、私たちの忙しい日常にも思い当ることがある。

「糖質過多でぽっちゃりした体形は一見、健康そうでも、たんぱく質などが足りていないので筋肉は減り、転倒や骨折もしやすい状態。低栄養は食べずにやせ細っているとは限らないし、低栄養で糖尿病という人もいるのです」

 明日も仕事や家事が忙しいと思えば、しっかり食べて英気を養おうとするもの。でもそんな生活から解放された高齢者にとって、食事の意味は変わってくるのかもしれない。

 川口さんは、孤食など食事の問題を抱える人のために、高齢者率の高い都営戸山ハイツ(東京都新宿区)などで、食事会を開催している。

 管理栄養士でもある川口さんの指導のもと、近くのスーパーで買う食材で手作りされ、週1回、20人前後の住民が食卓を囲む。栄養バランスの取れたおいしい料理が評判で、今年で8年目だという。

「私たちが意識しているのは旬の食材と、ひとりでは作らない少し手の込んだ家庭料理。 調理のいい香りに誘われてやって来て、揚げたての天ぷらをサクッと頬張る感動。旬の香り、手間暇かけた丁寧な味わい。豊かな“おいしさ”への感動が毎週参加する原動力になるようです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
イメージカット
「有名人なりすまし広告」の類に“騙されやすい度”をチェックしてみよう
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン