◆ウォーキングは非効率的
京大名誉教授の森谷敏夫氏
京大にも肉体自慢の“先生”がいる。同大学名誉教授の森谷敏夫氏だ。69歳にして体脂肪率9.8%。京大で教鞭を執っていた2006年には、『週刊文春』での特集『現役学生2000人が選んだ「面白い、自慢の講義」』に京大代表として選ばれた。
現在は京都産業大学で運動と医学の関係を教える森谷氏の考え方は、前出・石井氏とは対照的だ。
「肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常といった生活習慣病を防ぐには、痩せることが何よりも大切です。そのためには続けられないかもしれないトレーニングをするよりも、毎日こつこつ続けられる範囲で食事や運動習慣を見直すほうがいい」(森谷氏)
合理的で負担の少ない健康法を追求する森谷氏は、世間に流布されたいくつもの“常識”の誤りを指摘する。健康的な運動の代名詞である「ウォーキング」だが、森谷氏からすれば非効率的なのだという。
「30分のウォーキングで消費するエネルギーは100キロカロリーほどしかない。それよりも、生活の中で『座る時間』を減らしたほうが効果的です。たとえば、座っている時の消費エネルギーを1とすると、立つだけで1.2倍、歩くと3倍のエネルギーになる。電車では座らず、乗り換えではエスカレーターではなく階段を使う。日ごろから“ちょこまか”と動くことが大切です」(森谷氏)
食生活では「ベジファーストが健康にいい」というのも、森谷氏の講義なら“赤点”ものだ。
「『野菜から食べれば血糖値が上がらず太らない』という理論を証明した論文は世界のどこにもない。むしろ『野菜を先に、シメに白米』とすると、満腹感を得るのが遅くなってしまい、食べすぎて太ってしまう。最も効果的な食べ方は、最初からご飯、おかず、味噌汁をバランスよく口にする、昔ながらの『三角食べ』なんです」(森谷氏)