国内

美智子さまが熱心に通った皇居の「御用蚕所」は徳川家の聖地

徳川家康を祀る「紅葉山東照宮」の鳥居は明治6年に不忍池(東京・上野)のほとりに移された(写真提供/竹内正浩氏)

 江戸時代から現在に至るまで400年以上にわたって日本の歴史の中心だった奇跡の場所・皇居。即位の礼で今一度注目が集まる皇居の「謎」に迫る。

 美智子さまが1つずつ丁寧に白い繭を収穫する──これは「紅葉山御養蚕所」で初夏に行われる恒例行事の光景だ。

 皇居での養蚕は明治天皇の皇后・昭憲皇太后が始められ、歴代の皇后が受け継がれている。当時、日本の輸出品は生糸ぐらいで、「上に立つ者が模範を示す」というお考えからだった。

 美智子さまも養蚕を尊んだ。毎年5月上旬に「御養蚕始の儀」が行われ、同月末頃に収穫されるのが習わしとなっている。

 昭和から平成に移り変わった折、純国産種の蚕「小石丸」の飼育中止が検討されたことがあった。飼育が難しい上に生産性が低いことが理由だったが、日本古来の蚕が姿を消してしまうことを惜しまれた美智子さまが「もう少し育てたい」と希望され、生産は継続された。後に、美智子さまが収穫された小石丸の糸は、正倉院に収蔵される古代絹織物の復元に使用された。

 皇居の中心部にあり、ひときわ森深い紅葉山は、明治維新まで「徳川家の聖地」だったことはほとんど知られていない。歴史探訪家で『最後の秘境 皇居の歩き方』著者の竹内正浩さんが解説する。

「江戸時代は紅葉山の上に、徳川家康を祀る御宮があり、中腹から山麓にかけて、歴代将軍を祀る霊廟が並んでいました」

 明治になると、新政府は徳川家に対し、紅葉山の霊廟などを他所に移すように命令した。江戸城から皇居へ。そうして、江戸城内最高の聖地は、「養蚕の聖地」へと変わったのである。

※女性セブン2019年11月7・14日号

紅葉山御養蚕所で作業される美智子さま(写真/宮内庁提供)

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト